トヨタ最高益更新、その先は? 今期は自動車メーカーで初の1000万台超え

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そうした中で成長に向けたアクセルをいつ踏むのかが焦点となっている。

トヨタは昨年、3年間は、すでに決定済みのもの以外は工場新設による能力増強を行わず、既存工場の能力増強や効率化で対応する方針だ。それでも着実に生産能力は増加しているものの、数十万台レベルで増やすことは困難だ。トヨタ(ダイハツ、日野除く)の14年(暦年)の販売計画928万台に対し、現状の生産能力は980万台。地域によってはほとんど余力がない数字だ。

2位の米GM、3位のフォルクスワーゲンが積極的な投資姿勢を見せていることから、このままトヨタが慎重姿勢を続ければ、数年後のトップ交代も起こりえる。「社内では数字や1位にはこだわっていない。いいクルマを作ることと持続的成長という軸をぶらさない」(小西工己常務役員)として、ライバルに抜かれることには動揺しないという姿勢だ。

すでに高い利益水準にある以上、スローダウンも避けられない。無理して成長を追えば、地獄を見たリーマンショック時と同じ轍を踏むリスクもある。新興国市場の不透明感が増す中で、慎重なトヨタの姿勢はおそらく間違ってはいない。高めの成長維持の戦略を期待する周囲の声に負けず、軸をぶらさないでいられるか。
 

 

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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