LINE MUSICが「赤字続き」でも踏み止まる理由 音楽配信各社が抱える"悩ましい事情"

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例えば、LINE MUSICの有料ユーザーの半分が利用する「LINE着うた」。サービスに反対するレーベル会社を説得できたのも、「LINEの力が大きい」と高橋氏は振り返る。

「今後も対等に渡りあうにはシェアの獲得、確固たる地位は不可欠」(高橋氏)

LINE MUSICの有料ユーザー数はおよそ120万人。そのうちの半分を10代後半から20代前半が占めるという点でも、LINEにかけられる期待は小さくない。

「有料ユーザーになってもらうには、プレミアム感とリッチコンテンツが重要。会員限定イベントの開催などで、プラン料金を超える課金のメリットを積み上げていきたい」と高橋氏は強調する。

秋頃にはLINE MUSICの大きなリニューアルを控えているという。LINEが開発した音声アシスタント機能であるClovaをレコメンド機能に導入するなど、独自のサービスを拡充していく考えだ。

まずは足場を固めるAWA

「無尽蔵な広告による認知ではなく、サービス品質向上によりユーザーの自然流入を増やしたい」と語る小野哲太郎・AWA代表取締役社長(撮影:尾形文繁)

国内の有力サービスで、LINE MUSICとは対照的なのがAWAだ。エイベックスとサイバーエージェントが共同出資し、鳴り物入りで始まった同社はLINEとはまた違った転機を迎えている。

AWAが目下、最優先事項に掲げるのは、サービスの黒字化だ。「赤字のまま拡大するのは健全な事業とはいえない。とにかくまずは事業を黒字化する。サービス拡大やプロモーションの展開は十分な利益を確保してからだ」とAWAの代表取締役社長の小野哲太郎氏は語る。

愛用してくれるユーザーに対し、永続的にサービスを提供し続けるためにも、まずは事業収益を安定させる。そして来るべき市場爆発のタイミングに備える、というのが彼らの考えだ。

削減可能なコストを削る。その点でまずメスを入れたのが各社の赤字の元凶ともなっている広告宣伝費。認知度を上げるために大胆に出してきた広告を2年前からは手控えているという。

サービスの知名度の向上については“秘策”がある。それが外部とのビジネスアライアンスだ。サービス開始から4年で、累計40件以上の提携を実現。中でもTikTokとの提携は、AWAへの新規ユーザーの流入を1.7倍へと引き上げたという。

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