バイクの街、台湾・高雄で鉄道利用は広がるか MRTやLRTが続々と開業、新路線の計画も

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こうして開業したMRTだが、当初は想定輸送量の1日30万人を大きく下回り、10万人の輸送にとどまり、赤字が続いた。さらに年間2億NTD(約7億円)近い莫大な利子が経営を圧迫し、経営危機にも陥った。そのため、2012年には高雄メトロは同じくBOT方式で建設された台湾高速鉄道と条件を比較し、運営権の延長と減価償却費の削減を求めた。そして2013年には高雄市がMRTのインフラ部分を買い取り、利子も負担することにした。これにより高雄メトロの負担のうち年間18億円を軽減し、問題の解決を図った。

高雄市内を走るMRT。2路線とも最大6両編成での運行が可能だが、現在は3両編成で運行される(筆者撮影)

もちろん高雄メトロ自身も、土地開発による民間投資の誘発、人件費削減などの経営努力を行ってきた。日本で知られるユニークな施策としてはキャラクター「高捷少女」や日本の鉄道会社との観光協定があげられるだろう。「高捷少女」はデザインを行う「希萌創意」と高雄メトロが協力し2014年に作られた。高雄メトロで働く駅員・運転士などの設定でデザインされたキャラクターが、各種掲示物に使われているほか、グッズも展開されており、最近では日本で人気のキャラクター「初音ミク」とのコラボも行っている。日本の鉄道会社との観光協定は2016年の江ノ島電鉄との協定に始まり、京都の京福電鉄(嵐電)とも結ばれている。また、過去には京王電鉄や東京メトロとの共同キャンペーンも行われた。

こうしたさまざまな施策によって2015年に高雄メトロはようやく黒字経営となる。2016年には営業利益も黒字化し、純利益は約7500万NTD(約2億6000万円)となった。

LRTは架線レスで走る

一方、LRT計画は2001年に始まった。台鉄の高雄駅から臨港線(現在は廃線)を経て臨港エリアに至り、愛河の左岸を南北に結び、また高雄駅へ戻るという計画だった。建設にあたっては市の財政が厳しいこともあり、MRTと同じくBOT方式で建設することとした。2007年にはLRT計画を拡張し、高雄駅より北のエリアもカバーする環状路線のLRTの計画ができあがった。

これは1990年代に断念されたMRT路線のうち1路線の一部に重なる路線で、実質的な代替計画となっている。そうした経緯を経て、BOT方式での建設に向けた入札が行われた。しかし、この入札は不調に終わり、2009年にまずバスによる運行を開始(168番幹線系統)して輸送量を増やすこととなった。

LRT建設ルートに近い経路でLRTに先行して運行されているバス「168番」。環状運転をしており、右回りと左回りがある(筆者撮影)

その後も何度かBOT方式によるLRT建設に向けた入札が試みられたが、不調に終わった。そのため、2011年に高雄市が自前でLRTを整備する方針を決め、まずは観光客の利用が見込まれる区間が先に建設されることになった。建設に当たりスペインの車両メーカーCAFと台北の建設会社が提案した架線レスの路線とLRVのシステムが採用された。

この架線レスで走るLRVは、停留所間をバッテリーで走る。各停留所で停車するとパンタグラフを上げ、25秒の急速充電を行う。この充電で、2駅分を走行できる電力をためこむ仕組みになっている。

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