あなたが「スマホチェック」をやめられないワケ ストレスホルモンが不安をあおる
そうした事態がたまに起きるくらいなら、スマホ起因のコルチゾール値上昇は大した問題にはならないかもしれない。だがトラッキングアプリの「モーメント」のデータによれば、アメリカ人がスマホの画面を見ている平均時間は1日4時間にも及び、四六時中手の届くところにスマホを置いているという。
その結果、スマホはグーグルがあるリポートで指摘したように、「ソーシャルメディアや電子メール、ニュースのアプリを搭載したモバイル機器は、恒常的な義務感を作り出し、意図しない個人的ストレスを生んでいる」。
慢性的にコルチゾール値が高くなると
「スマホが視界に入っていたり、そばにあったり、通知音が聞こえたり聞こえた気がするだけでコルチゾール値は上昇する」とコネティカット大学医学大学院の教授(臨床精神医学)で「インターネットおよびテクノロジー依存症センター」の創立者であるデービッド・グリーンフィールド教授は言う。これはストレス反応で、不快なものだ。つまりスマホをチェックしてストレスを追いやりたいと思うのは、身体の自然な反応なのだ」。
だがそれで気持ちが落ち着くのはほんの一瞬で、長期的には状況をさらに悪くするだろう。スマホをチェックするたびに、人は何かほかのストレスフルなものが自分を待ち構えていることに気づくだろう。それがさらなるコルチゾール値の上昇を招き、不安を解消するためにスマホをチェックしたい気持ちもさらに高まる。このサイクルが継続的に強化されると、ついには慢性的にコルチゾール値が高い状態になってしまう。
そして慢性的にコルチゾール値が高い状態が続くと、うつや肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、不妊、高血圧、心臓発作、認知症や脳卒中といった、深刻な健康問題のリスクが上昇する。
「存在が知られている慢性疾患はすべからく、ストレスによって悪化する」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の名誉教授(小児内分泌学)で『アメリカ人の心のハッキング』という著書のあるロバート・ラスティグは言う。「そしてスマホは間違いなくそれに関わっている」。
健康問題を引き起こす長期的な可能性に加え、短期的にもスマホによるストレスは私たちに生命を直接、危険にさらすような影響を及ぼしている。