横浜シーサイドラインが示唆する鉄道の未来 有人の自動運転なら安全性・利便性は高まる

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2018年12月に、国土交通省は「鉄道における自動運転技術検討会」を開始した。その目的は、人口減少社会において鉄道係員の確保が困難な中、より一層の業務の効率化・省力化を図るためとしている。

その目的とは別に、鉄道の自動運転が、交通と、さらに街の姿をガラリと変える可能性を示そう。

普段、通勤通学に使う路線、出かける際に使う路線、そして不便で使わない路線の時刻表を思い浮かべてほしい。もっと運行本数が多ければ、すなわち待ち時間が短ければ便利だと思わないだろうか。

長距離でない日常の移動では、自分の乗りたい種別または行き先の列車が5分以下おきなら「まあ便利」、10分おきなら「許容範囲」、20分おきは「今一つ」、1時間おきは「勘弁」といったあたりが普通の感覚だろう。特に、乗り継いだ先の路線の運行頻度が少なく長時間待ちになると閉口する。

鉄道会社も本当はもっと高頻度化して便利にしたいと思っても、運転士の免許基準が高度で、養成費や管理費まで含めた人件費が高額となり、実行できないのだ。

鉄道の自動運転は街の姿を変える

自動運転化によりその問題を解消でき、短編成化と組み合わせ、運営費を増やさずに思い切った高頻度化を実行できるようになる。

普段使う、あるいは不便で使わない路線の10分おきが3分おきに、20分おきが5分おきに、1時間おきが15分おきになることを想像してみてほしい。

圧倒的に便利になり、当然ながら利用者は増え、駅周辺の人出が増えて街が賑わうようになる。街というのは現金なもので、いったん人出が増えると、商店や飲食店が増え、するとさらに人出が増え、居住地としても企業立地としても魅力的になる、と好循環が始まる。

地方のこの60年間では、駅周辺より幹線道路沿いが便利になり、鉄道利用者も駅周辺の人出も減り続け、駅周辺が寂れた悪循環とまさに逆のことが起きるかも知れないのだ。

とは言え、人口減少が続くとの考えが日本中に広まっている中、そんなこと起きるわけがないだろと思う読者が多いだろう。

しかし、過去の歴史を振り返るなら、古今東西全ての文明社会において、時代の最先端の交通を導入できた地域・国家・民族は繁栄した。時代の最先端の交通は突飛なものである必要はない。鉄道の自動運転は、業務を効率化・省力化するばかりでなく、街の姿を変える交通になり得るのだ。

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