キヤノン御手洗氏「ドルは120円に近づく」 円安で国内生産比率50%へ
[東京 9日 ロイター] -キヤノン<7751.T>の御手洗冨士夫会長兼社長は9日、ロイターのインタビューで、円安が一段と進行するとの見通しを示すとともに、カメラや事務機の国内生産を増やす方針を示した。
リーマン・ショック以降の円高で海外生産を増やしてきたが、今後は日本の工場で増産を行うことで、国内生産比率を回復させる。
現行の国内生産比率は42%で、12年12月期は48%だった。国内に新工場を建設する計画はないが、今後3年程度で50%前後まで高める。御手洗会長は「海外でも日本でもどちらでも作れるようにしている」と述べ、為替の動向に応じて、内外生産比率を柔軟に変更させる体制を構築していると強調した。
足元で、ドル/円は104円台、ユーロ/円は142円台で進行しているが、御手洗会長は「対ドル、対ユーロで、円はまだまだ高い」と指摘。その上で「(中長期的には)リーマン・ショック前の120円、160円の水準に近付いていく」との見通しを示した。
今期も工場の自動化を進めてコストダウンを図る計画。宇都宮のレンズ工場では、1―2割の生産を自動化しているが、今期中に半分以上の生産が自動化される見通しという。
インタビューの詳細は以下の通り。
――円安は一段と進むとみているか。
「欧州次第だが、リーマン・ショック前のドル120円、ユーロ160円に近づいていくだろう。米国の景気は確実によくなるので、円が強くなる要素よりドルが強くなる要素の方がずっと大きい。これは長期的に続く。対ドルと対ユーロで、円はまだまだ高い」
――円安進行を受けて国内生産は増やすか。
「国内生産の比率は3年くらいかけて50%にしたい。リーマン・ショック前に60%近かったが、その後に海外に進出したので国内工場が空いている。これを元に戻す。増産は国内工場で行う予定だが、もともと空いていた設備を使うので、この間に工場の増設は必要ない」
「為替によって海外でも日本でも両方のハコを作っておいて、為替次第でどちらでも作れるようにしている。円高になれば海外工場の生産を増やすし、円安になれば国内工場の生産を増やす。柔軟性を高めるのが大事だ」