赤い電車「名鉄」、今振り返る昭和・平成の記憶 パノラマカーやお堀電車…懐かしの写真満載
850系と3400系はどちらも流線形電車ではあったが、スマートさは3400系のほうが上だった。だが、850系は南満州鉄道(満鉄)の気動車「ジテ」の流れをくむ独特のデザインで迫力があった。昭和40年代初頭は緑色の塗装で、その後名鉄の標準色となった赤(スカーレット)に塗り替えられ、1988年まで活躍した。
3400系はクリーム色と茶色のツートンカラーで、1967年以降の車体リニューアルの際に、一時期クロスシート車の標準塗装だったクリーム色地に赤ラインの塗装となった。その後赤1色に塗り替えられたが、1993年に登場時の塗装を再現した緑色濃淡の塗り分けとなり、冷房も搭載して2002年まで走り続けた。
2ドア車から3ドア車へ
名鉄には、パノラマカーのほかにも「日本初」があった。1959年に、特別料金不要の車両としては日本で初めて冷房を搭載して登場した「大衆冷房車」5500系だ。
昭和40年代後半~50年代は、この車両や1955年登場の5000系が急行や「高速」の主力として活躍していた。「高速」は1977年に登場した種別で、特急のうち座席指定でない列車を別の種別としたものだ。
この頃、1970年代半ばまでは、名鉄の車両は2ドアのクロスシート車がほとんどで、都市間高速輸送に重点を置いていた。だが、ラッシュの混雑激化に加えて折からのオイルショックによるマイカー通勤から鉄道利用への移行も進んだことから、1975年に助っ人として東急電鉄から3ドアロングシート車両の3700系を譲り受け、赤く塗り替えて3880系としてラッシュ輸送に投入した。大手私鉄間での車両の譲渡は非常に珍しかった。
その後は3ドア車の導入が本格的に進み、1976年には現在も活躍する6000系が登場。今では3ドアロングシート車がほとんどとなり、名鉄の車両ラインナップは大きく変化した。
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