シベリア鉄道vs一帯一路、日本企業が選ぶのは? ユーラシア大陸を横断、2つの貨物輸送ルート

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パイロット事業には東洋トランス、日新、三菱商事ロジスティクス、日本通運などの事業者が参加。神戸港、横浜港、名古屋港など日本の港を出発し、ウラジオストクでの鉄道への積み替え作業や通関を経て、モスクワまで輸送した。列車で運ぶ輸送品目は清涼飲料水、食品、機械部品、楽器、工具など多岐にわたった。

日本の港からモスクワまでのリードタイムは最短で15日、最長で31日という結果になった。最短と最長で日数が倍近く違うのは驚きだが、これは日本の海上輸送が2日(舞鶴港発)~10日(横浜港発)、ロシアの港での積み替えや通関にかかる日数が3~17日と大きくばらついたためだ。

鉄道輸送の所要日数は7~11日と比較的安定していた。「トータルでは海上輸送と比べ2分の1から3分の1程度の日数」(桒名専門官)という。

冬季の輸送であっても温度や湿度の変化による結露や水漏れといった品質上の問題点は見られず、振動についても、積み替え時を除けば「日本国内の高速道路走行時と同程度」(同)というレベルで、輸送事故は起きなかった。

輸送コストは、海上輸送よりも高いとされる。この点について、国交省側では「高いかどうかは時期や輸送量によっても異なり一概に言えないが、利用が増えてくれば、ロシア鉄道側も価格条件を下げるのではないか」と期待している。

「中欧班列」は年間2000便

いっぽう、一帯一路における中国と欧州を結ぶ鉄道ルートは「中欧班列」と呼ばれている。1992年に連雲港からロッテルダム(オランダ)への運行が始まったのを皮切りに、2011年には重慶―デュイスブルク(ドイツ)間で定期便運行がはじまった。その後、瀋陽、成都など中国の各都市とも結ばれるようになり、2017年には年間約2000便が運行した。

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