東野圭吾、僕が自腹でスノボ大会を開く理由

一生懸命にやっている人の励みになりたい

スノーボードとは全然関係がない人にとってはどうでもいい試みかもしれません。でも少なくとも、スノーボードに一生懸命になっている人たちにとっては励みのひとつになれるんじゃないかと思っています。

100人に1人「しか」作品を読んでいない

僕の本職は小説家なので、スノーボードを普及させようとか、幅広く紹介しようと思ったら、本当は小説に書くのがいちばんなんです。ただ、スノーボードやゲレンデを扱った小説はこれまでにも書いたけれど、滑らない人からの反応が鈍いんです。

――そんなに違うものですか。

それは歴然としていますね。知り合いや友人に新作を送るのですが、普段は感想をくれる連中も反応が鈍い。聞くと、「スノーボードのことはわからないから」と言う。いや、わかるように書いてあるから読んでよ、と言っているんですけれども。

――本を開きもしていない感じですね。

開きもしないか、あるいは後回しになっちゃうのでしょうね。では逆に、スノーボードやスノースポーツをやっているからといって、ゲレンデを舞台にした僕の本を読むかというと、そうとは限らない。いや、読まない人のほうが多いと僕は考えています。

スノーボードを題材とする小説を出したときに、それについてブログで書いてくれた読者がいました。その人はかなりスノーボード好きのようで、僕の他の作品についてはまったく知らない様子でした。他の作品は読まないけれど、スノーボードについての作品だったから読んだ、ということが書いてあった。

スノーボード人口がだいたい100万人として、その中で僕の本を読んでいるのは恐らく1万人ぐらいでしょう。なぜなら僕の100万部売れた作品だって、日本の人口全体ではせいぜい100人に1人が読んだに過ぎないから。

――100人に1人が読んでいるって、すでにすごい数字ではありますが……

だから、スノーボード人口に99万人も将来読者になってくれる余地がある。僕のファンだけど、スノースポーツものは敬遠する人、スノーボードはするけれど僕の小説は読まない人。この双方の数パーセントからでも注目を集められたら、僕の商売にもつながる。

ただ、この大会がすごく大きくなって、何か派生してどうのこうのっていうのはとくに期待していないんです。みんなで手探りしながらやって、「今年もうまくいったなあ」って言えればいい。それが僕にとっては目標ですね。

このインタビューは、東洋経済メーリングブック第2弾『東野圭吾の秘密(仮)』に連動したものです。70分に及ぶインタビューの全編は、5月に配信するメーリングブックでお読みいただけます。
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