《NEWS@もっと!関西》鉄ちゃん垂涎--。鉄道グッズ店「Gatan−Goton(ガタンゴトン)」が人気スポットに
大阪の私鉄駅構内の一角が、鉄道ファンなどの間で話題を集めている。
近畿日本鉄道が昨年12月、鶴橋駅(大阪市生野区)の構内に鉄道グッズショップ「Gatan−Goton(ガタンゴトン)」をオープンしたところ、わずか約30平方メートルの小さな店舗にも関わらず、九州や北海道など全国各地から鉄道ファンが押し寄せているという。ネット上などの「口コミ」で、店の存在が広まったようだ。いわゆる“鉄道マニア”だけでなく、「小学生からお年寄りまで老若男女が訪れる」と、販売員の稲澤麻理子さんは話す。
鉄道会社が関連グッズを販売するケースは他でもある。「ガタンゴトン」が人気を集めている理由は、扱っているアイテムにある。車両模型などの他に、近鉄の駅名が入った携帯ストラップとキーホルダーを販売しているのだが、なんと全駅288駅分を揃えているのだ。「こんなアホなことをしてるのは、ウチだけですわ」と、近鉄のある社員は冗談交じりでそう語る。
地元の顧客は自分が乗降する駅を探すケースが多いよう。遠方からの顧客を中心に、「黄金(こがね)」や「福神(ふくがみ)」など縁起の良い駅名を購入していくケースも少なくない模様。このストラップとキーホルダーだけで、一日平均60個が売れていくという。
「ガタンゴトン」の人気の理由はもうひとつ。店舗中央に設置してある鉄道模型運転コーナーだ。顧客は実物のハンドルを使って、近鉄電車の模型を運転することができる。花園ラグビー場や奈良県の名勝などの沿線風景を集めたジオラマ(1.3×2.3メートル)の中で模型を走らせる。模型車両の先頭につけられたカメラの映像がモニターに映し出されるため、顧客は本物さながらの臨場感を楽しめる。「週末には家族連れのお客さんで賑わいます」(稲澤さん)。
少子高齢化の影響で鉄道事業の先行きが懸念される中、近鉄は流通事業など非鉄道分野を強化している。ガタンゴトンの出店は、この経営戦略に沿った施策というわけだ。ただ、計画段階では出店に否定的な見方もあったようだ。「損だけはするなよ」--。小林哲哉社長も当初は懐疑的だったという。が、売上高は一日7万円計画に対し、「目下のところ平均約20万円で推移している」と、高松啓二常務は頬を緩める。
色合いなど細部までリアルに再現した駅名ストラップは、実にオリジナルティに溢れている。鉄道ファンや沿線の人にとって、近鉄電車に乗る楽しみが一つ増えた、といえそうだ。
(梅咲 恵司 =東洋経済オンライン)
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