新東名に現れた「自転車」で降りれるSAの正体 高速道路を自転車で走ることは可能なのか

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ところで、サイクリストにとってわが国の最大の聖地は、広島県尾道市から愛媛県今治市まで、瀬戸内の島々に沿って架橋された「しまなみ海道」であろう。私のサイクリストの知人も多くがすでにここを走破しているし、いつか走りたいと口にする仲間も少なくない。

この区間は、西瀬戸自動車道という本四高速会社が運営管理する高速道路がメインだが、すべての橋に原付も含めた自転車歩行者道がついており、橋の部分では自転車で高速道路と並走することができる。

海外にも知られる聖地「SHIMANAMI」

「SHIMANAMI」は今や海外のサイクリストにも認知されつつあり、外国人サイクリストの姿を見かけることも珍しくない。通常は橋ごとに自転車の通行料が必要だが、2020年3月まではすべての橋の通行料が無料になる「しまなみサイクリングフリー」が実施されている。

さらに、2014年から隔年で、西瀬戸自動車道を通行止めにして、自転車の走行イベント「サイクリングしまなみ」が開催されてきた。昨年は10月28日に開催され、7000人を超える参加者が集まった。

最長のコースは尾道―今治間の全コースを往復する140㎞。東名高速道路で東京から西へ向かえば、富士川を越えて由比パーキングエリアあたりまでの距離に匹敵する行程をすべて自転車で走れるのだ。

誤って高速道路に進入する自転車は論外だが、信号も歩行者もいない空間を自分のペースで走れたらと願うサイクリストは多いはず。しまなみ海道のイベントは地元の自治体の深い理解とサポートで成り立っていて、どこでも可能なことではないが、車と自転車はともに人の移動を担う重要な手段であることには変わりなく、相互の理解のためにも車への迷惑をできるだけ抑えながら、たまには高速道路をサイクリストに開放するイベントがもっとあってもよいのかもしれない。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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