不審物発見できる?駅で「ボディチェック」実験 体に触れずにスキャン、刃物や爆発物を検知
さらに、装置に取り付けられた光学カメラに、顔を含めた全身画像を記録することが可能なので、不審者が雑踏にまぎれた場合にも2種類の画像を活用することで所持者の特定が可能だ。
実証実験を企画した国土交通省鉄道局は「旅客の流動を大きく妨げない。(検知波を照射するタイプと比較して)人体に無害である」(危機管理室)ことなどを装置採用の大きな理由にあげた。
ボディスキャナーを運用するのは綜合警備保障(ALSOK)だ。実験公開の初日、霞ケ関駅の現場には6レーンある自動改札の1カ所、改札口約3m手前にデスクトップパソコンの本体ほどの装置が床置きされ、すぐ後ろに女性警備員が立った。
スキャナーはノートパソコンと接続され、結果はリアルタイムでモニターに反映される。不審物を身に着けていると思われる利用者が発見された場合には、改札内側にいる別の警備員に知らせて、二次検査などの再確認を行う段取りになっている。
混雑時に滞留が発生しないか
朝夕のラッシュ時にも実験を継続し、模擬危険物を身に着けた実験エキストラが一般利用者に紛れ込んでも正確に識別できるかが、実験の最大の目的である。
「危険物の判断が適切にできるか。不審物を身に着けていると思われる利用者に二次検査の声掛けができるのか。混雑時にも利用者の滞留が発生しないかを装置の設置場所なども変えながら検証。利用者、駅のスタッフや警備員などへのアンケートも取りながら検証する」(同社・首都圏営業部)
ただ、設置された自動改札を通過しようとする利用者はすべてデータとして記録されるため、こうした状況を利用者が許容するかどうかも視野に入っている。国交省が提供する装置のサンプル画像にはモザイクがかかっているが「全身画像の顔にモザイクを自動でかける機能はないので、個人情報を取得することになる」(国交省)ためだ。
そのため、国交省は取得した個人情報保護に関する基本指針も定めた。また、装置手前に案内者を配置して、スキャナーの設置された自動改札を通過したくない利用者は回避レーンを案内したり、実験の説明をしたりするなどの対策をとる。
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