不審物発見できる?駅で「ボディチェック」実験 体に触れずにスキャン、刃物や爆発物を検知
鉄道利用者の危険物持ち込みを識別する実証実験が東京メトロ霞ケ関駅で3月4日から始まった。3月7日まで行われる。
刃物や爆発物といった危険物と思われる物品を利用者が身に着けているかどうかを識別するために、改札口にボディスキャナーを設置し警備員が監視する。予算額は1000万円。朝夕の混雑時を問わず4日間実施して、警備上の効果と、鉄道利用のサービス維持のバランスを検証する。今回はボディチェックの実証実験であり、手荷物検査は行わない。
5cm角の大きさの物品を検知
実験を行う国土交通省鉄道局は昨年6月の東海道新幹線「のぞみ」車内で起きた殺傷事件をきっかけの1つと説明。「そのほかにも鉄道を取り巻くセキュリティを考えて企画した」(鉄道局危機管理室)と、世の中の関心の高さを実施の理由に挙げた。
実施場所となった霞ケ関駅は1995年3月20日に、世界に類のないテロ「地下鉄サリン事件」の舞台となった場所でもある。あれから24年が経過しようとしている。新元号時代となるこのタイミングで、鉄道警備の対策向上の具体策が浮上した。
実証実験には特殊なボディスキャナーが採用された。最大の特徴は、人体から放出されるテラヘルツ波(電磁波の一種)を読み取って画像化し、それを放出しない金属など無機物を黒い影として識別する仕組みだ。
テラヘルツ波は衣服を透過するため、自動改札を通過する利用者でも、動きを止めずにボディラインを画像化することができる。スキャナーに向き合う身体に身に着けたもの、たとえばポケットに入れた携帯電話などが黒い影として映る。エックス線照射のように透過させることはできないため、黒い影の形しか判別できないが、不審物を即座に見分けることができる。
このボディスキャナーはイギリス・スルービジョン社製で、輸入元のコーンズテクノロジー社によると、静止状態を含めて感度を最大に上げた状態で5cm角の大きさの物品を画像化することができるという。
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