上野が浅草さえしのぐほど人を呼びこめる理由 「伝統」と「目新しさ」の両輪で集客を行う
マナーの話は後述するが、上野の関係者に話を聞くと、よく「駅と山と街の連携」という言い方をする。この3つは具体的には以下の内容だ。
観光客を呼ぶ大動脈、JR上野駅について関係者は「上野発展を築いてきた大きな存在」と話す。ただし、「駅ナカ施設をあまり充実させないでほしい」が本音だろう。駅から出て、公園や街を歩き、飲食や買い物で消費してほしいからだ。
最大の集客コンテンツは「山」にいる
上野で最も集客を呼ぶ存在は「山」の中にいる。上野動物園のパンダだ。2017年6月12日にジャイアントパンダの赤ちゃん「シャンシャン」が誕生し、順調に育ったのはご存じのとおり。誕生前年度に比べて、以下のように同動物園の年間入場者は約66万人も増えた。
ちなみに、2011年2月21日に親パンダのリーリーとシンシンが来園し、その前後に上野動物園を訪れた年間入園者数は、「267万7372人」(2010年度)→「470万7261人」(2011年度)と、こちらは200万人以上も増えている。
「もちろん増加数が、そのまま『パンダを見に来たお客さん』ではないでしょう。でも3年近く“パンダ不在”だった動物園に2頭が来園した2011年。5年ぶりの赤ちゃんパンダが誕生した2017年は、来園者増加で盛り上がりました。地元・松坂屋上野店(大丸・松坂屋)のキャラクターは“さくらパンダ”ですし、地元の製靴メーカーはパンダデザインの靴も開発した。それほど上野にとって、パンダは特別な存在なのです」(二木氏)
パンダにちなんだイベントを行うのも、1972(昭和47)年の「カンカン、ランラン来園」からの伝統だが、イベント内容は時代に応じて変えてきた。
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