自宅で介護を希望する人は7割超という現実 在宅介護を希望するなら事前準備が大切だ

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かつて、「介護は自宅で妻や嫁、娘などの女性が行うもの」という考え方が主流だった時代もありました。いまは多くの女性がパートや正社員で働いています。仕事と家事、育児の3つをこなす人も多く、女性だけが介護を引き受けるのは難しいといえます。

「長年住み慣れた自宅から離れたくないという思いから、多くの人が自宅で介護を受ける『在宅介護』を希望するようです。在宅介護では、配偶者や家族などがいるときはその人たちの協力が必要となります。

介護が必要になってから、あわてて介護について考えるのではなく、体が元気なうちにあらかじめ話し合っておくことが大切です。在宅介護を望むのなら、家族に介護の負担がかかりすぎないように、介護保険の介護サービスを上手に取り入れながらの生活を考えるとよいでしょう」と、田中克典さんは話します。

在宅介護の費用は?

自宅で介護を受ける場合の費用ですが、公益財団法人生命保険文化センターの「平成30年度(2018年度)生命保険に関する全国実態調査<速報版>」によると、介護保険サービスの利用を含む1カ月の介護費用の平均値は78,000円でした。要介護度や利用する介護サービスの種類や頻度などによっても金額は異なりますが、これが在宅介護を受けるときの費用の一つの目安になります。

一方、自宅以外で介護を受ける場所としては「特別養護老人ホーム(特養)」や「介護老人保健施設(老健)」などの介護保険施設があります。民間では「介護付き有料老人ホーム」や、最近、増加傾向の「サービス付き高齢者向け住宅」などがあります。

このように、介護を受ける場所についてさまざまな選択肢があるとはいえ、自宅から離れずに介護を受けたいという人が依然として多いのが事実です。在宅介護を受ける場合、どんな介護サービスを利用するかによって、介護にかかるお金や介護する人の負担が異なります。その在宅介護の調整役となるのが「ケアマネジャー」です。在宅介護の実情を見ていきます。

在宅介護で介護サービスを使う場合、利用者(介護サービスを受ける人)はケアマネジャーを1人選びます。ケアマネジャーの役目は、利用者や家族から介護の希望や介護に使える金額などを聞き、どの介護サービスを1カ月に何回使うか、それをどの介護事業者に依頼するかなどを決めて、利用者に合った介護の計画書「ケアプラン」を作成することです。

ケアマネジャーは居宅介護支援事業所に所属し、報酬は介護保険でまかなわれているため、利用者がお金を支払うことはありません。

「ケアマネジャーは1カ月に1回は利用者の家を訪問して、利用者の様子を見たり、ケアプランに沿ってきちんと介護サービスが行われているかを確認。変更した方がいいことがあれば、翌月のケアプランに反映させます。

ケアマネジャーはほかに、利用者や家族の介護に関する相談に乗ったり、自治体や介護サービス事業所との連絡や調整を行います。利用者が生活や介護などで困ったことが起きたときには、親身になって相談に乗り、一緒に解決をめざす心強いパートナーだと思ってください」と田中さん。

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