放映権ビジネスの最前線に飛び込んだ日本人 岡部恭英 テレビ放映権セールスマネジャー

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透明性の向上が今後の課題の一つ

ここ数年、チャンピオンズリーグに限らず、サッカーの放映権料は高騰し続けてきた。それだけコンテンツの魅力が世界中で認められている証拠である。中でもスター選手が集まるチャンピオンズリーグは、アジアでの注目も急速に高まっている。

ただし、前述のインフロント社のトップとFIFA会長との血縁関係など、サッカーの放映権業界にはまだ不透明なイメージを抱く人も多い。課題の一つは透明性の向上だ。

「TEAMでは『誠実さ』をキーワードに、徹底的に公明正大さを目指しています。チャンピオンズリーグの放映権も入札制ですが、必ずしもいちばん値が高い会社が獲得できるわけではない。でも視聴者数等の条件を考慮して、最も効果的だと思われるところと契約しています」

また世界的に金融不安が広がる中、興行ビジネスにもスポンサー収入などへの影響が懸念される。岡部も「影響を受けることは否めない」としながら、「でも世界的なスポーツイベントを抱えていれば、うまく対応できるはず」と力を込める。

「たとえば米国ではサブプライムショック後、北京オリンピックの放送が記録的な視聴率を記録しました。『Content is king』という言葉があります。不況になったときこそ、大衆にアピールできる強力なコンテンツが重要になるはずです」

12月11日、各大陸の優勝クラブが集うFIFAクラブワールドカップが日本で開幕した。岡部も将来はアジアに戻り、サッカー界を盛り上げる仕事がしたいと言う。

「チャンピオンズリーグという大会に携わった経験をアジアに還元したい。それが僕の使命だと思っています。いつかシンガポールか香港に拠点を作り、ビジネスサイドからサッカー界の発展に携わりたい」

現在、欧州サッカー界で働く日本人はFIFAに3人、UEFAに1人、岡部を含めて計5人と、欧州組の選手より少ない。世界最高峰の大会でもまれた日本の若武者が、いつかピッチの外からアジアのサッカー界を変えてくれるかもしれない。

木崎 伸也 スポーツライター

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きざき しんや / Shinya Kizaki

1975年東京都生まれ。中央大学大学院理工学研究科物理学専攻修士課程修了。2002年夏にオランダに移住し、翌年からドイツを拠点に活動。高原直泰や稲本潤一などの日本人選手を中心に、欧州サッカーを取材した。2009年2月に日本に帰国し、『Number』『週刊東洋経済』『週刊サッカーダイジェスト』『サッカー批評』『フットボールサミット』などに寄稿。おもな著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『クライフ哲学ノススメ 試合の流れを読む14の鉄則』(サッカー小僧新書)など。

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