「将来に悩む」20代を救うオッサン世代の提案 若者には焦るよりも試行錯誤してほしい

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「俺は将来起業家になる」「商品開発の仕事がしたい」「外資系企業で働きたい」「グローバルな仕事がしたい」、目標を持つことは大いに結構なのですが、すべて「これしかやりたくない」となるといろいろ問題が出てきます。

というのも、20代ですから、一部の特殊な早熟な人を除けばまだまだ修行の身。「やりたくてもできない」ことも多いでしょうし(もちろんそれでも本当にやりたければやればいいのですが)、今思っていることよりも向いていることが見つかるかもしれないチャンスにあふれているのに、それに目をつぶってしまうことにもなります。

たかだか四半世紀に過ぎませんが、私のキャリア経験からすれば、20代の若者の中で「どうしてもこれでなければならない」と思うほどの「やりたいこと」がある人は多くはありません。2割もいれば上等ではないでしょうか。

むしろ、「自分が何をしたいかがわからない」という悩みがほとんどです。しかし、それは問題ではありません。人事なら誰でも知っている有名なクランボルツの「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)によれば、あまり自分のキャリアを決めつけずにオープンマインドでいて、偶然に起こったチャンスを逃さないほうが結果としてイケてるキャリアを獲得しているというのです。

キャリアデザインをし過ぎず、むしろキャリアドリフト(漂流)のほうが重要なのです。そうして、試行錯誤するうちに後のキャリアの「軸」となる専門性を見つけるというスピード感で問題ありません。

「キャリアデザイン中毒」と「生き急ぎ」からの脱却

「会社の将来が見えない」と言う若者のうちの一定層は、これまで述べてきた「キャリアデザイン中毒」、つまり、本当は恐れる必要のない、もっと言えばむしろやり過ぎないほうがいいキャリアデザインを、しなければまずいことになるという強迫観念にさらされている方々が、軸の決まらない自分への不安を会社の方針が未確定であることに投影しているのでしょう。

そしてさらに追い討ちをかけるのが、若者特有の「生き急ぎ」。我々オッサン世代は逆に、いつも年末などに「ハッと気づいたら1年経っていた……時間が過ぎるのが早過ぎる……」という感覚が通常なのでピンと来ないかもしれませんが(ほとんど全員がおっしゃるので、オッサンの時間の流れは早いというのは真実なのでしょう)、若者の時間はとてつもなく早く過ぎていきます。これも何らか対処をしなければなりません。

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