佐賀・有明海産の牡蠣が「世界一」と言える理由

レジェンド京都吉兆の徳岡会長もうなった

実は、梅津さんは最初からカキの養殖をやっていたわけではない。建設業から一念発起、カキの養殖を始めたのは5年前の2014年。生まれ育った有明海が不漁となり、それに伴ってどんどん元気がなくなる故郷を「カキ」で元気にしたいと考えたのが挑戦のきっかけだ。だが当初、技術力は皆無。勢いだけはあったが、見よう見まねでやったことで、相当苦労したという。

「養殖を最初に始めた頃は、カキの6割が死んでいましたね。今では9割育ちます」。だが、単に有明海沖に「井ゲタ」のように養殖場を浮かべているだけでは本当に濃厚なカキはできない。「うちでは、ある程度カキが育つとカゴに入れ、わざと海流で揺れるようにするんです。そうすることで、カキは殻を閉じようとする。これによって貝柱が鍛えられ、身に甘味がでるんです」。なるほど、おいしさの秘密の1つはここにあった。

クリーミーな牡蠣なら「シャブリ」との相性が抜群

牡蠣を待つ徳岡会長。無類の牡蠣好きだけに、思わず笑みがこぼれる(撮影:山下恒之)

いよいよ、養殖場で獲れたてのカキを船に積み込み港に戻り、梅津さんの自宅へ。贅沢な宴の始まりだ。皆がこの瞬間を待っていた! 浦川さんが、この至極のカキに合わせて用意したワインのトップバッターは「Patrick Piuze CAHBLIS Terroirs de Courgis 2014(パトリック ピウズ シャブリ テロワール ド クルギス)」。

「カキにはシャブリが合う、と言われていますが、実は合わないものも多いんです。しかし、梅津さんの育てたカキは最高にクリーミー。なので『まずはシャブリから』がお勧めですね」。なるほど、クリーミーなカキとシャブリの爽やかな味わいが交じり合い、徳岡会長も思わず笑顔に。

ほかにも、ボリューミーなシャンパーニュ「Domaine Gonet Médeville 1er Cru Cuvée Blanc de Noir NV(ドメーヌ ゴネ メドヴィユ プルミエ クリュ キュヴェ ブラン ド ノワール)」、さらには、海鮮に合うワインとしておなじみの南仏のワイン南仏のワイン「Domaine Mas Saint Laurent Picpoul de Pinet 2015(ドメーヌ マス サンローラン ピクプール ピネ)」など、さすがのセレクションが続いた。

佐賀産のクリーミーな牡蠣なら、シャブリが最高に良く合う(撮影:山下恒之)

「佐賀県にはカキのほかにも、まだ知られていない極上の食がある。これからもそんな逸品をどんどん紹介していきたいですね」(浦川さん)。

これには徳岡会長もうなずく。「佐賀県にはカキや海苔など有明海産のもの以外でも、農産物や日本酒などおいしいものがたくさんある。もっと全国の人に食べてもらう機会を増やしたほうがいいですよ」。その優しい笑みが、今回の旅の満足度を雄弁に語りかけてくる。

和食のカリスマ徳岡会長もうならせた「食の宝庫」佐賀県は、国内の魅力度ではつねに下位に位置しているが可能性を秘めている。これからは「食」の分野で平成の次の時代に「維新」を起こしていくはずだ。

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