テスラモデル3の購入に躊躇してしまう事情 数年先のスタンダードタイプでも遅くない

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またホイールもスタンダードは18インチだが19インチにアップグレードすると1500ドル(約17万円)。インテリアはスタンダードがブラック、ホワイトだと1000ドル(約11万円)の追加。そしてテスラ自慢のオートパイロットシステムを追加するのに5000ドル(約55万円)。

もしすべてのオプションを選んだ場合、価格は5万6000ドル(約621万円)となる。テスラではHP上でこの車の価格を3万1700ドル(約351万円)と表記しているが、これは税金などのインセンティブおよびガソリン代の節約分などを見込んだ概算の数字だ。

もし2018年中に購入した場合、米連邦政府とカリフォルニア州の税金優遇措置により1万ドル(約111万円)の値引きとなるが、2019年以降はこの値引きはおよそ半減する。そしてテストドライブ当日(12月8日)の時点ですでに今年中のデリバリーは不可能、1月以降となるためフルの税制優遇は受けられない。またテスラのスーパーチャージステーションの利用は、紹介クレジットを使えば最初の半年間に限り無料となるがそれ以降は有料だ。

購入するなら数年待ってスタンダードタイプか

テスラが宣伝していた「3万5000ドル(約388万円)の車」はどこにあるのか? 現時点では存在しない。試乗担当者も「今の時点ではコンセプトのようなもので、いつ生産が始まるのかは自分たちにもわからない。あと数年を要するかもしれない」と、その点については煮え切らない答えだった。また、3万5000ドルの車については内装も合皮製シートではなく布張り、センターコンソールが不在、など試乗した車よりもダウングレードなものになる、という。

結論として、もしモデル3を購入するのなら、やはり数年待ってでも3万5000ドルで提供される、というスタンダードタイプを待ちたい。合皮製の座り心地の良いバケットシートから布製シートになって乗り心地は変わるのか、センターコンソールがないことで機能にどのような変化があるのか、その比較を検証してからでも遅くはない。

もし現行モデルの中から選ぶとすれば、デュアルモーターのAWは雪道を走るときなどには便利かもしれないが、街乗りならばリアホイールで十分だ。パフォーマンスはさまざまな機能が加えられているが、よほどの走り屋でない限り日常生活にはそれほど必要とも感じない。モデル3はおしゃれで走りの楽しい、それなりのクオリティーを持つ車だが、5万ドルを支払って買いたいかどうかは人それぞれだろう。

土方 細秩子 ジャーナリスト

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ひじかた さちこ / Sachiko Hijikata

アメリカ在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、アメリカの社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス滞在経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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