中国人がSNSで赤裸々に相談する悩みの中身 グループチャットの恥は掻き捨て?

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だが、少なくとも日本人は、実名であれ、匿名であれ、夫婦生活のことや、離婚の相談まで、知り合いも含まれているSNSのグループに書き込まないのではないだろうか? むしろその逆で、同じ北京、同じニューヨークに住む日本人同士は、近くにいるからこそ、プライベートなことまで知られたくない、という人のほうが多いのではないだろうか。

日本人駐在員の場合、同じような「日本人御用達」のマンションに住むことが多いため、ただでさえ「あの〇〇の支店長の奥さんは……」「〇〇さん、地元スーパーで〇〇をよく買っている!」といったうわさ話になりがちで、うんざりしてしまうからだ。

だが、日本に住む中国人の場合は状況が異なる。企業派遣の駐在員はまだ少なく、留学生や、留学後に日本企業に就職したり、独立して仕事をしている人が多く、みんなバラバラで、寄り集まって住んでいるわけではない。だから、顔も知らないけれど、同じ中国人同士という適度な距離があるので、気軽に離婚の相談までSNSでさっとできてしまうのだ。

少なくとも、私が知るかぎり、SNSをここまで頻繁に駆使し(私が知るかぎり、ほぼ24時間体制!)ネットワークを活用し、仕事やプライベートのためにここまで活用しているのは、おそらく世界で中国人だけではないだろうか。

それはやはり、彼らが母国の影響を強く受けているからだ。

異国に住まう中国人の生活の知恵

ウィーチャットの中国でのアクティブユーザーは9億6000万人といわれているが、それは世界中に飛び出した中国人にも広がっている。フェイスブックは世界で22億人以上が使っているといわれているが、日本国内に限っていえば、月間アクティブユーザーは約2800万人と、決して多くはない。海外に住んでいるからフェイスブックを始めました、という人ばかりではないだろう。海外に住む日本人が全員SNSで連絡を取り合っているとは思いにくい。

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しかし、海外に住む中国人で、ウィーチャットをやっていないという人はまずいないだろう。個人のメールがそれほど普及する以前にウィーチャットが普及し、中国ではSNS=生活インフラとなったからで、それを生活のほぼすべてで利用しているからだ。

このように、彼らは、日本人がまったく知らない間に、次々と日本や母国の情報をSNSで入手し、自分たちなりに日本を理解しようとしたり、日本での生活を暮らしやすくしている、ということを私は在日中国人の取材を通して知った。もともとSNSが生活の一部となっている中国人だからこその生活の知恵なのだろう、と深く納得したのだ。

中島 恵 ジャーナリスト

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なかじま けい / Kei Nakajima

山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経て、フリ―に。著書に『なぜ中国人は財布を持たないのか』『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(すべて日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『「爆買い後」、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)などがある。

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