地銀決算、「3分の2が最終減益」の巨大衝撃 収益力の減退続くが、経営効率化での遅れも
地銀各行では、収益力に加え、経営の効率化でも差がつきつつある。本業の収益から費用を差し引いた業務粗利益は70行が減少した。経費率(営業経費÷業務粗利益)は42行が80%を超え、その多くは経営が厳しい。
本業の利益が伸び悩んでいるため、各行とも人件費の削減や店舗運営の効率化などに取り組んでいるが、経費率は依然として高止まりが続いている。佐賀(佐賀県)、福島(福島県)両行は100%を超えており、効率化は待ったなしだ。
財務健全性も脆弱化
自己資本比率もじわりと低下し、財務健全性の脆弱さも高まっている。海外営業拠点のない地銀の大半は自己資本比率規制上、「国内基準」行に該当し、同比率は4%以上あればよいとされている。しかし、実に78行が前年同期比で低下。事実上のメドである8%を割り込む地銀は関西アーバンや大正(共に大阪府)など8行ある。
今回、最終赤字になったのはスルガ1行にとどまったが、これは、最終赤字になる地銀が大量に登場する未来を先取りしている。
スルガの経費率は44%と、効率よく稼ぐ力は地銀随一だが、1000億円を超える与信費用が直撃し、たちまち最終赤字に転落。12%台だった自己資本比率も8%台へ大きく低下した。
表には掲載していないが、各行とも与信関係費用や有価証券関連の損失はおおむね軽微にとどまっている。しかし、今後景気後退局面に突入し、倒産件数が増加したり、金融市場が荒れ模様になったりすると、最終赤字の地銀が続出しかねない。今上期決算はかろうじて黒字に踏みとどまったが、将来の不安を抱かせる決算だったといえるだろう。
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