「現金払いしない人」がお金を使いすぎる理由 カギは代金支払い時に感じる「痛み」にある

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製品・サービスの代金を支払うタイミングは、主に3通りある。消費の前、消費の間、そして消費のあとだ。

消費前に支払う

なにかを消費する前に代金を支払うと、実際の消費時にはほとんど痛みがないように感じる。その時点で出費の痛みはないし、将来の支払いに頭を悩ませることもない。

たとえば1週間のアフリカ・サファリ旅行に行くとしよう。旅行代金を支払う方法は2通りある。代金の全額を旅行の4カ月前に一括前払いするか、旅行が終了した時点で現金払いするかだ。経済効率がより高いのは当然、サービスの提供が完了してから最後に支払う方法だ。

でも旅行の楽しみという点ではどうだろう? サファリを、特に最終日をより楽しめるのは、どちらの支払い方法だろう? 前払いにしたほうが楽しめると、ほとんどの人が考える。最終日に代金を支払う場合、「これは代金に見合う価値があるのか?」「自分はどれだけ楽しんでいるのか?」などと考えて、最後の数日間を過ごすはめになるからだ。そんなことでいちいち頭を悩ませていたら、サファリの楽しみが台なしだ。

消費中に支払う

消費している間に支払いを行うと、出費の痛みを強く意識させられるだけでなく、消費の楽しみまで薄れてしまう。

たとえば退職/中年の危機を祝って、ゴキゲンなスポーツカーを買うとしよう。ローンで購入し、毎月支払いが発生する。車の乗り心地は予想どおり最高で、迫り来る老いや、人生の誤った選択のことをしばし忘れられる。だが運転する機会は年々減っていき、ハンドルを握っても前ほどときめかなくなった。

毎月支払いの日が来るたび、軽率で高くつく買い物をしたことを思い知らされ、ますます出費を正当化しづらくなる。そこでローンを一括返済することに決めた。大金を一度に支払うのは痛みが大きかったが、毎月の定期的な出費の痛みとうしろめたさから解放され、おかげでルーフを下げて街中を乗り回すのを楽しいと感じるようになった。毎月の支払いが頭から離れたため、そう頻繁に運転はしないにせよ、車を楽しめる。

クレジットカードの巧妙な特質

消費後に支払う

私たちは将来のお金を、現在のお金よりも低く評価しがちだ。出費をあと回しにすると、同じ金額を今支払うより痛みが少ない。また出費のタイミングが遠い未来になればなるほど、今の痛みは減り、ほとんど無料に感じられることさえある。

これが、クレジットカードの邪悪で巧妙な特質の1つだ。クレジットカードの主な心理的効果は、消費と出費のタイミングを分離することにある。また、クレジットカードを使えば出費をあと回しにできるから、お金の時間感覚があいまいになり、機会費用をはっきり意識しなくなり、現在の出費の痛みが薄れるのだ。

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