40代女性が料理家に転身、NYで成功したワケ 「世界で活躍する日本人」の共通点とは?

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愛情表現とは、毎日ハグをしたり、ほおにキスをしたりというスキンシップだけでなく、ひでこさんの場合は「料理を作ること」もそうだという。

「たとえば、毎朝ジョナサンが『アイムハングリー』と言いながら起きてくるので、おいしい朝ごはんを作ってあげるんです。そうすると、彼はニコニコしながら食べてくれます。料理って愛情を与えることでもあると思うんです」(ひでこさん)

たくさんつらい思いをしたからこそ、相手に感謝できる自分になれた(筆者撮影)

幸せな結婚生活は、相手への愛と感謝の気持ちから

実は、息子さんが生まれる前、ひでこさんには1度流産の経験があった。38歳のときだった。ひでこさんにとって、子どもを産んで育てることは昔からの夢だったこともあり、そのときは、あまりのショックでしばらく立ち直れなかったという。

そんなとき、ジョナサンさんが励まし続け、ひでこさんはとても救われたそうだ。

「このとき、パートナーが側にいてくれるだけで幸せなんだと改めて気づきました。子どもは神様からの授かりものだから、もし授かることができなくても、彼と一緒にいることに意義があると思ったので、前を向くことができました」とひでこさん。

「それに……」とひでこさんは続ける。

「彼と出会わなかったら、もしかしたらこの世の中で1人だったかもしれないじゃないですか? だから、彼が側にいてくれるだけでありがたい。これ以上、何もいらないと思いました」とほほ笑んだ。

「彼が側にいるだけで、ありがたい。これ以上、何もいらない」なんて言葉、なかなか言えないのではないだろうか。

思わず筆者は、「ひでこさんのように、この言葉を自信を持って人に言えるだろうか」と心の中で自問自答してしまった。

そんな私を見て、ひでこさんはこんなことを言った。

「私は30代のときに離婚をして、ニューヨークでたくさんつらい思いをしたからこそ、相手に感謝できる自分になれたんだと思うんです。この街はとても華やかな一面もあるけれど、1人で生きていくのは大変な街。だから、当時のことを考えると、彼と過ごせる今の生活って本当に天国。彼と出会えたことに、心から感謝しているんです」

相手を大切に思う気持ちがあるからこそ、助けが必要なときに手を差し伸べることができる。支え合うことができる。幸せな結婚生活も仕事の成功も、すべては相手への愛と感謝の気持ちから始まるのかもしれない。

鮫川 佳那子 イギリス在住ライター/インタビュアー

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さめかわ かなこ / Kanako Samekawa

青山学院大学卒業後、サイバーエージェントに入社し、ウェブメディアの運営や広告制作に携わる。2015年より夫の海外転勤でニューヨークへ渡り、世界で活躍する日本人のインタビュー記事やコラム、書籍を執筆。現在はイギリスでライターをしながら、「こんまり」こと近藤麻理恵さんのオンラインサロン運営や、ラジオのインタビュアーとしても活躍。鮫川佳那子のSNSやホームページはこちら

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