韓国が本当は北朝鮮の非核化を望まないワケ 彼らの頭には「南北共同の核保有」がある

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韓国政府がわざわざ「原潜保有の打診」をメディアにリークしたのは「核の南北合作」の努力を北朝鮮にわかってもらうためだったと思われる。この頃、文在寅政権は南北首脳会談に応じてもらえるなら、何でもしかねない勢いだった。

文在寅政権は初めから挙動不審だった。口では「完全な非核化」と唱えるが、その動きは消極的だ。拙著『米韓同盟消滅』でも詳しく書いたが、米朝が対決モードだった時は北側に立ってアメリカの軍事的な圧力を弱めようとした。

米朝が対話モードに入った後も北朝鮮が非核化に動いていないのに、対北経済制裁の網を破るのに熱心である。2018年7月20日、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は国連安全保障理事会で「南北の間では対北朝鮮制裁の例外が必要だ」と説明した。

同年4月の首脳会談の後、韓国は開城工業団地の再開など事実上の対北援助に動いている。それらを国際社会に認めさせようと「制裁の例外」を言い出したのだ。経済援助を再開すれば、北朝鮮が非核化にますますそっぽを向くのは、火を見るよりも明らかだ。現にこれまで、北朝鮮は非核化の約束を5度も破っている。

「民族の核を持つ」という韓国人の夢

左派は北の核は南を向いていないと信じている。さらには自分たちと共有する「民族の核」と見なしている。「わが民族同士の本質」を書いた、朝鮮日報のアン・ヨンヒョン記者の懸念もここにあった。

・北の「我が民族同士」が緻密な赤化統一戦略であるのに対し、南の安易な左派勢力は民族の話さえ出れば感傷に浸ってしまう傾向がある。
・北が核・ミサイルで暴走しても「北韓が核・ミサイルを同じ民族である南韓に向け撃つだろうか。対米交渉用のカードに過ぎない」などと根拠のない楽観論を語る。

アン・ヨンヒョン記者の懸念は1年もたたないうちに現実になった。左派だけではない。国全体が「民族和解」の感傷に浸り、北朝鮮を信用するに至った。

2018年4月27日の南北首脳会談の前、韓国で北朝鮮を信頼する人は14.7%だった。会談後は64.7%に跳ね上がった。

峨山政策研究院によると、6月12日の米朝首脳会談直後の調査では、北朝鮮に対する好感度は10点満点で史上最高の4.71を記録した。アメリカの5.97には及ばなかったが、中国の4.16、日本の3.55を上回った。

南北合作の空気はすっかりでき上がった。ただ、「南北」と「米朝」の首脳会談前から――朝鮮半島で戦争への危機感が高まっていた時から世論誘導は始まっていた。

2017年12月14日、韓国で映画『鋼鉄の雨』が公開された。主人公は北朝鮮の工作員と韓国政府高官の2人。アメリカが北朝鮮を先制核攻撃するといったエピソードもあり「緊迫した当時」を映した。

筋書きは、開城工業団地を訪問中にクーデターで負傷した北朝鮮の最高指導者がソウルで密かに治療を受けた後、救急車で北に送り届けられる。その見返りに韓国は北の核兵器を半分譲ってもらう――と荒唐無稽だ。

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