コンビニ大手3社、「客数増」に向けた次の一手 各社とも国内コンビニ事業が伸び悩み

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ただ、各社とも手をこまぬいているわけではない。客数増に向けた施策を打っている。

セブンが取り組むのは、弁当や冷凍食品などの商品開発に加えて、商品改良による賞味期限の長期化だ。セブンのおにぎりや弁当を製造する会社は、セブン専用の工場を持つ。2018年度上期にはサラダのパッケージ改良や、中華系総菜の工場を自動化して外気にふれる時間を減らすなどして、賞味期限を長くした。従来1日半だったサラダや中華系総菜の賞味期限は2日半となったという。

賞味期限が延びると加盟店側にとって廃棄リスクが軽減され、商品を発注しやすくなる。井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長は「加盟店に“勇気”を促した結果、徐々に商品発注を増やしてもらえるようになった」と話す。

6月に始めたスマートフォンアプリは、ダウンロード数がすでに500万を突破。顧客の購買履歴に応じたリコメンドやクーポンの配布などで来店動機を高める。今後はイトーヨーカ堂などグループ他社への顧客誘導も強化する。

こうした取り組みの結果、セブンの客数は改善基調にあるという。四半期ベースでみると、2017年9~11月には既存店の客数が前年超えする日数が28日だったが、2018年6~8月には50日になった。

ローソンは「夕夜間」を強化

ローソンが打ち出すのは、「夕夜間」の強化だ。これまで米飯やサンドイッチなどの発注の締め切りは1日2回で、商品発注から納品までの時間が長く、品ぞろえが十分ではなかった。そこで発注の締め切りを1日3回と頻度を高め、納品までの時間を短くした。竹増貞信社長は「サプライチェーンを変えた6月以降、夕夜間で手応えを得ている」と話す。実際、取り組み前の2018年5月と比べて、2018年6月~8月の期間で夕夜間の売上高は3%上昇しているという。

ファミリーマートでは、焼き鳥など中食の商品強化に加えて、コーヒーマシンを刷新しており、コーヒーの売り上げは10%以上増加している。他にもドン・キホーテとの共同店舗を6月に3店舗開店するなど、業態を超えた新たな取り組みも行っている。ドン・キホーテとの共同店は6~8月に日販は前年比30%増、客数は10%増を記録した。

生活インフラとなったコンビニだが、2013年に大ヒットした「セブンカフェ」以降、ライフスタイルを変えるようなヒット商品が見当たらない。顧客に「この商品がある店だから行く」と思わせるような、新たな価値を提供できるかがカギを握りそうだ。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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