保守派がテイラー・スウィフトに怒ったワケ 政治的影響力を発揮した途端に警戒

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「スウィフトの投稿以来、24時間で約6万5000人が新たに有権者登録を行った」と、選挙啓発に携わる非営利団体「ボート・オルグ」で広報を担当するカマリ・ガスリーは、ニュースサイト「バズフィード」に語った。

全国的な有権者登録の増加はもちろんだが、「特にテネシー州の登録件数が急増している」という。10月に入ってから州内で登録した有権者は5183人だが、そのうち2144人がここ2日間に登録している。

ボート・オルグのサイト閲覧数も急増し、スウィフトの投稿以来の訪問者数は約15万6000人に上った。

「テイラー・スウィフトのおかげだ」と、ガスリーは言う。

これまで政治的意見を表明しなかったスウィフトが国民的議論を引き起こしたことを、ドナルド・トランプ大統領はあまり歓迎していない。スウィフトの音楽を「前より25%好きじゃなくなった」と、彼は語った。

スウィフトは今回の投稿のなかで、共和党現職のマーシャ・ブラックバーン下院議員を厳しく批判し、2人の民主党候補(上院ではフィル・ブレデセン、下院ではジム・クーパー)に投票することを明らかにしている。

トランプは、ブラックバーンは「すばらしい女性」であり、「スウィフトは彼女について何も知らないに違いない」と、反論した。

保守派の評論家アン・コールターは、スウィフトが自分の意志で支持を表明したわけではないと主張。「スウィフトは『かわいいだけの白人娘』と悪質な攻撃を受けていた。だからエージェントに、民主党支持を表明するよう言われたのだ」と、ツィッターに投稿した。

保守派団体ターニング・ポイントUSAの創始者で活動家のチャーリー・カークは、政治的発言をしないことで知られていたスウィフトが政治に参入したことを嘆いた。「彼女は政治から距離を置いていて、そこが好きだった」と、フォックステレビの朝のニュース番組で、カークは語った。

スウィフトは投稿で、自分が政治に関する沈黙を破った理由として、ブラックバーンの女性問題に関するこれまでの姿勢を挙げた。

「テネシー州の上院議員候補は、マーシャ・ブラックバーンという女性だ。これまでと同様、できれば女性を当選させたいけれど無理。彼女の投票記録は実に恐ろしいから。彼女は男女平等賃金に反対し、家庭内暴力やストーカーから女性を保護する『女性に対する暴力防止法』の再認可にも反対した」と、スウィフトは書いている。

保守派は素人有名人の介入が嫌い

保守派はこれまで、政治に素人の有名人は政治的議論から距離を置くべきだと主張してきた。

NBAのスター選手ケビン・デュラントとレブロン・ジェームスが今年初めのインタビューで政治について語ったことについて、フォックス・ニュースの司会者ローラ・イングラムは、「ボールをバウンドさせるだけで年収1億ドルを稼ぐ人に、政治的助言を求めるのは賢明ではない。口を閉じて、ドリブルに専念しなさい」と述べた。

昨年、NFLの試合で、アフリカ系アメリカ人に対する警察の暴力に抗議するために国歌斉唱の最中に跪くといった行動をとる選手が続出したことに対して、トランプは汚い言葉をまき散らしながら、チームのオーナーはこういう選手をクビにしろ、と言った。

(文:ダニエル・モリッツラブソン)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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