フィンテック系証券会社を味方につける方法 「手数料無料」の証券会社もついに出現!?

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最後に紹介する企業はトラノテックだ。アメリカにはおつりなどの小銭を自動的に投資に回すエイコーンという企業があるが、日本でもトラノテックが「トラノコ」というアプリを展開している。同社のアプリでは、おつりだけでなく、提携しているポイントも投資に充てることが可能だ。

またユーザーはリスク許容度に応じて、3つのコースから投資するコースを決めるだけでよく、まったくの投資初心者にとっては非常に簡単な仕様となっている。日本人の国民性を考えれば、いちばんリスクが低いコースか、中庸のコースが多く選ばれそうであるが、意外にも同社によると最もリスクの高いコースが選ばれているという。ポケットや財布の中でジャラジャラとするおつりや、使わぬまま消失してしまうポイントなどが原資になるため、国民性とは逆にリスク許容度が高まるのかもしれない。

同社のアプリは月額の利用料と出金時に定額の手数料がかかるものの、商品を保有している間の運用報酬料はほかのロボアドバイザー企業よりは安く設定されている。目ざとい投資家はすでにこの点に気づいており、最初に様子見で少額を入れてから、一気に投資資金を増やす個人投資家もすでにいるようだ。ポイントを投資に充てることができるなど、あえて投資用に資金を用意せずに始められるため、今後は金融業界とは異なる業界の企業とのコラボレーションも考えられる。こちらも、その観点では投資の新たなインフラになる可能性が高い。

同社によると、既存顧客のうちの66.2%が投資未経験者だという。やはりサービスを利用する際の資金面や精神面でのハードルが低くなる商品設計をすることで、投資未経験者を顧客にすることができるようだ。

「熾烈な競争」というより「ファンを増やす」第3世代

今回、複数の企業を紹介したが、第3世代に共通するのは、上の世代や同世代の企業に対して、競争心を燃やすというよりはいかに自社のサービスを改善し、顧客(ファン)を増やすかという発想を持っているという点だ。

オンライン証券会社の熾烈な手数料争いにより、この業界では手数料が低いことが一般的になった。そのため、後発組にとっては手数料の安さは参入時点でそもそもの前提条件とされているため、それぞれの企業が手数料以外の部分で独自色を強く打ち出すことにより、差別化を図るようになっている。

前述のとおり、ワンタップバイやトラノテックの既存顧客に占める投資未経験者の比率はかなり高い。第3世代の登場により、日本の個人投資家の裾野は広がりつつある。どのサービスを使って資産運用をしていくのか。ハードルも下がっているだけに気軽に選べるものの、個人投資家としてはやはり慎重に選びたい。

森永 康平 マネネCEO/経済アナリスト

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もりなが こうへい / Kohei Morinaga

証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。株式会社マネネTwitter

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