消えた”383改革案”、中国「三中全会」の深層

踏み込み不足に終わった経済改革

ところが、三中全会の声明文を見る限り、国有企業改革についてはほとんど進展がなかった。また、地方への財源委譲などが期待されていた財政改革でも、具体策は出ず、失望を広げる結果となった。

「財政など重要なテーマで、まだ改革の方向性についての結論が出ていない。玉虫色になるのはやむをえない話で、まだ評価するには早い」(北京の国際金融筋)との声もある。三中全会では具体化しなかったものの「383改革」が今後の経済政策の基盤となるのか、それとも、党内の抵抗にあって改革案そのものが潰されてしまったのかは、まだ分からない。

声明文は、2020年までに一連の改革の決定的な結果を出すと年限を切っており、習政権の2期目(2018~23年)には成果を出すとの覚悟を示した格好だ。追って公表される会議での決議全文は声明の6倍程度の長さになる見通しで、そこで具体的な改革案が肉付けされる可能性もある。

13年の経済成長率の目標は7.5%で、着地も12年の7.8%よりも低下する公算が高い。李克強首相は三中全会直前の10月21日、失業率を現状並みの4%前後に維持するため必要な成長率は7.2%だと言明した。多少成長率が下がっても大規模な景気刺激策をとらず、改革を優先する方針とみられる。

 「法治」の重視を明確化

一方、中国国内で意外感を持って受け止められたのは「法治」重視を明確にしたことだ。

具体的には「独立・公正な裁判権と検察権を確保する」といった文言が入った。中国では司法も共産党の指導下にあり、政府から独立していない。にもかかわらず「法治」重視を明確にしたのは、地方指導者や国有企業の専横を抑えるために必要との判断からだろう。中国政府系シンクタンクの研究員は「司法の独立は、地方政府の権力を大きく制限することになる。実現できれば大きな前進だ」と話す。

大衆の不満を爆発させないためには、官僚の腐敗や国有企業による資源配分のゆがみに一定の歯止めをかける必要がある。普通選挙や民営化という抜本策を選べないための次善の策が「法治」の強化ということだろう。治安対策を強化するために国家安全会議が新設されたこととあわせ、共産党が国内の安定維持に必死な様子が窺える。経済改革の行方を考えるうえでも、その視点が欠かせない。

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