台風一過の鉄道、なぜ混乱?国交省が検証へ 情報提供に課題、「計画再開」は可能なのか
鉄道の運行を監督する国交省鉄道局安全監理官室は次のように説明する。
「運行では安全が最も重要、だからといって今回の対策が100点であるかというと、そういうことでは必ずしもない。鉄道事業者としては、台風による施設被害を見込んで天候の回復後に安全点検を始めるわけだから、運休翌日に晴れていれば大丈夫かというと、そういうわけにもいかない。ただ旅客からすると、晴れているのだからという判断もあったと思う。今後の検証の中で議論することになるだろう」(進藤友博事故対策官)
列車を運行するかどうかの判断は鉄道事業者が決める。運行を止める場合の基準は各社によって差はあるが、たとえばJR在来線では風速が20m/秒以上になると時速25km以下の徐行、風速25m/秒以上で運休と決まっている。その基準に照らして計画運休は決断された。
しかし、運休後の運転再開については「準備ができ次第」という目安しかない。基本的には「場合によっては、時刻表通りに運行できないこともあるかもしれません」というのみ。10月1日に各駅で行われた入場制限も、リアルタイムで各社のホームページ上で案内がされたケースもあるものの、よほどの悪天候でない限り定時に出社することを強いられている通勤客とは大きな意識の差がある。
利用者への情報提供を監督する鉄道局鉄道サービス政策室は、次のように説明する。
「鉄道事業者の情報提供は正確な情報発信が理想だが、基本は旅客の行動判断に資する情報が提供されているかどうか。(今回の混乱では)駅に行かないほうがいいのか、駅で待つのがいいのかがわかるような情報提供がされるべき」(後藤大樹課長補佐)
「計画再開」はどこまで可能か
大規模な計画運休の試みによる利用者の大きな混乱は避けられた。ただ、運行再開がどのタイミングで、いつごろになれば時刻表通りの運行が見込めるかについては、鉄道事業者と利用者との間に認識の差がある。
運休の事前告知が計画運休とするならば、運行の事前告知となる計画再開がどこまで可能か。まさに、そこが初の試みに関する「振り返り会議」の焦点になる。駅構内への入場制限による利用者への影響なども、鉄道施設外のことなので、実は鉄道局も数字として把握していないのが現状だ。近日開催の会議では、それらの事象についても鉄道局と鉄道事業者で情報共有される予定だ。
会議は各社の運行管理者を中心として出席を求めることになる見込みだ。日程は未定だが、今週末から来週にかけての開催を目指すという。
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