マツダが全車種を頻繁に大幅改良できる理由 そこに「一括企画」と「モノづくり革新」がある
そこで考えたのが、汎用工作機械を使いながら、マツダ自ら作動プログラムを開発することにより、車種によるロボットの動きを自在にできるようにすることだった。プログラムを自ら開発することは簡単ではないが、一度経験すれば、マツダ社員自らプログラムを書き換えることができるようになる。その労力は、人件費という給与の中に入ってしまうので、新たな投資は不要になる。
汎用機械を使い尽くすプログラムを自社で賄うことにより、マツダの生産ラインは言葉どおり多様で多品種な部品やクルマを、数の多少にかかわらず生産できるようになった。実際、エンジン工場では直列とV型のエンジンが同じラインでシリンダーブロックを研磨することが可能になっている。
ワンマツダの意識による新車開発と製造
さらに、単に工場内の生産現場で、不具合の改善ではなく、工作機械の運用を担当者自ら変更していく技能を身に付けることにより、仕事に対する意欲が飛躍的に高まった。なおかつ、現場の製造技術に精通した熟練者たちから、設計・開発部署へどのように設計変更や改良が行われればいいかといった助言も積極的になされることになった。部署間の壁が取れ、ワンマツダの意識による新車開発と製造が進んでいる。
こうして、頻繁な改良や改善が行われても、即座に生産できる体制づくりが出来上がった。また、それにより品質も改善されていく。
新しい魅力をどんどんつぎ込んでいくことができるのが、一括企画であり、モノづくり革新で、それがマツダの根幹を支えている。SKYACTIVという技術が優れているだけでなく、それを実現する背景がマツダに整ったのだ。
それは、トヨタにも魅力的に映ったに違いない。トヨタとマツダの提携の背後には、トヨタが成しえなかった少量生産であるがゆえのモノづくりのこだわりや商品性を学びたかったのではないか。そのようについ想像してしまうのである。
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