フランス人が親戚付き合いで疲弊しない理由 子にベタベタしないが「孫育て」には積極的

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夫の両親や兄弟ら大勢が集まる際の嫁の立場はどうだろうか。日本では正月が家族や親戚が集まる機会となっているが、フランスではクリスマスを家族や親戚で祝う。知人のフランス人夫婦は昨年末、24日の夜には夫側の親戚を自宅に招き、25日の昼には妻側の親戚を自宅に招いた。

フランス人はクリスマスには、ごちそうを食べる。日本のおせち料理の場合、外で購入する家庭もあるが、手作りするとしたら女性が用意する家庭が多いのではないか。正月に夫の実家へ帰省する場合、迎春準備が妻にとってはストレスになるという話も聞く。

知人の家庭では24日の夕食も25日の昼食も、夫が十数人分の食事作りを担当した。前菜は生ガキとフォアグラ、メインは牛肉のローストなど、おせち料理のような時間と手間のかかるメニューではないが、素材が良いのでおいしい。デザートは招待客の1人が持参した。

「負担の分担」が大事

日本の正月は、料理を出したり、お酒の用意をしたり、おもちを焼いたり、主婦は座っていられないというイメージがあるが、フランスのクリスマスは趣が違うようだ。知人の家庭では、妻も食前酒を出したりしていたが、食卓でのおしゃべりを楽しむ時間も十分にあった。

楽しいはずのクリスマスも、誰か1人に負担が偏れば、その人にとっては憂鬱な年中行事になってしまう。親戚が集まる機会に負担を分担することも、長く続く親戚付き合いのなかでは重要なことだろう。

国末 則子 フリーライター

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くにすえ のりこ / Noriko Kunisue

フリーライター。東洋経済新報社、朝日新聞記者を経てフリーライターになる。2001~2004年、2007~2010年の2度にわたってパリに滞在し、2人の子どもを現地校に通わせた。著書に『パリの朝食はいつもカフェオレとバゲット』(プレジデント社)。
 

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