JR7社の「収益格差」どうすれば解決できた?

国鉄改革「答申書」で分割民営化を振り返る

国鉄の鉄道管理局が受け持つ範囲は、今日のJR旅客会社6社の事業本部や支社と同じと考えてよい。今日のJR東日本の東北地区には仙台支社、盛岡支社、秋田支社、JR仙台病院、東北工事事務所の5支社があり、これらのうち、仙台、盛岡、秋田の3支社はそれぞれが鉄道管理局だった。

筆者は拙著『JRは生き残れるのか』の本文中でJR東日本の東北地区を分社化するという案を出している。筆者が出した案は当時も検討されていたが、「安定経営のための基礎となる路線を持たない」ために却下された。しかし、筆者はいまのような会社内の収益格差こそがJRを将来苦しめると考えて、なるべく地域に根差した営業エリアを提案したい。

線区での分割は「不自然」を生む

安定的な経営基盤確保の観点から、従来の線区区分を単位として、事業体間の収益格差ができるだけ平準化するような形で、これらの線区を組み合わせるという案を検討した。この案では、収益力の大きい路線が一部の地域に偏っているため、これらを各事業体の中核路線となるように分割すると、結果として旅客の流動実態に適合しなくなり、地域的に不自然な形の分割となってしまう。

国鉄時代の線区区分では、本線と称された東海道線は支線として山手線や赤羽線、横浜線、大阪環状線といった当時でも黒字であった路線を従えていた。これではあまりにも不公平だ。さらには、今日の山手線や赤羽線は別の線区区分である東北線との結び付きも強いので、仮にこのような分割が実施されていたら、東京という大都市で果たすべき交通機関の姿からは程遠くなっていたかもしれない。

さらに、新幹線が高速交通機関として果たす役割にかんがみ、その利用の一体性を確保する観点から、新幹線全体を一つの事業体とし、在来線を地域経済ブロック単位で分割する案についても検討した。しかしながら、この案では、在来線の事業体に安定経営のための基盤となる路線を持たないものが出てしまうほか、機能面から見ても新幹線のフィーダー機能を有する在来線については、新幹線と一体的に運営する方が望ましい場合がある点に問題を残す。

JR新幹線とJR東京、JR名古屋、JR大阪……という分割案はいまも支持されていると筆者は実感する。なぜなら、JR東日本、JR東海、JR西日本という本州のJR旅客会社3社であっても各社間に収益格差は存在するからだ。

収益格差の大きな要因となっている新幹線だけ分けてしまえという考えにも一理ある。それに、新幹線と在来線とを一体にと言っても首都圏や京阪神圏では東海道新幹線のJR東海と在来線のJR東日本、JR西日本とが別会社で特に一体となってはいない。

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