「一帯一路」鉄道がエチオピアで頓挫した事情 「プロジェクトの持続可能性は低い」
1991年に軍事政権が崩壊後、同国を率いる与党エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)の連立政権は、2025年までに中所得国になることを目指し、道路や鉄道、工業団地の建設など製造業主導の産業国になるという野心的な構想を進めている。だがそれにより、債務は増加の一途をたどっている。
エチオピア中央銀行のYinager Dessie総裁は7月、ロイターに対し、同国政府は中国からの債務を減らしたいと考えていると語った。同総裁によると、エチオピアの2国間債務の大半は中国からのものだという。
「向こう数カ月間にわたり、協議がもたれるだろう。債務返済の選択肢を広げる上で、落としどころがどの辺になるかまだ分からない」と同総裁は語った。
頓挫する鉄道計画
内陸に位置するエチオピアにおける交通整備プロジェクトの収益性に対する中国の懸念は、なかでもアディスアベバとジブチ港を結ぶ標準軌間の鉄道に集中している。
北京にある中国共産党中央党校の趙磊教授は6月、中国が融資するエチオピア首都アディスアベバ周辺の軽量鉄道とエチオピア─ジブチ間の鉄道プロジェクトを挙げ、「プロジェクトの持続可能性は低い」との見方を党機関紙の光明日報で示した。
「追加のインフラ整備やサービス、保守において十分な検討がされていない」と同教授は指摘した。
鉄道プロジェクトの主要部分は2016年に開通したが、ウォルディアからメケレまで北方に路線を拡張するための中国からの融資は度々遅れており、中国輸出入銀行からの完全な融資パッケージはまだ実行されていないと、清華大学のTang Xiaoyang教授は語った。同教授はエチオピアで実地調査を行っている。
同教授によれば、遅れを生じさせている主な懸念は、プロジェクトの経済的な持続性と実行可能性だという。
中国輸出入銀行と中国交通建設(CCCC)はコメント要請に応じなかった。
「中国輸出入銀行は新規プロジェクトに対し、ますますリスクを回避するようになっている」と、前出CARIのYunnan Chen研究員は言う。
エチオピアはFOCACで、プロジェクトの打開を期待していると、同研究員はみている。
「このように突破口を探ることはFOCACの活動の1つであり、同フォーラムへの注目が、エチオピアのようなアフリカの国にとって中国から言質を取る格好の機会となる」と語った。
(Maggie Fick and Christian Shepherd 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら