営業から運用、調査と意外に広い保険の仕事【生保編】
巨額資金で社会貢献も 生保資産運用という大仕事
机の前にいながらにして世界を見渡し、1000億~2000億円もの大金を動かす。日々そのようなダイナミックな“大仕事”をこなしているのが日本生命国際投資部の岡安辰雄氏だ。
お客様から集める保険料も、お支払いする保険金も、当然ながら通貨は円建てだ。そのため生命保険会社運用は、基本的には国内の公社債などが中心となる。ただし、プラスアルファの収益を稼ぐためには、ある程度、為替などのリスクを取った運用も求められる。岡安氏が携わっているのが、まさにその外貨建て取引の中核を担う仕事だ。
岡安氏のキャリアは入社直後から運用部門一筋。まず外国債券運用やディスクローズ業務を担当し、その後、1年間、ニューヨークの米国大手投資銀行にトレーニーとして派遣されるなど経験を積んだ。現在は、外貨としてはポジションの大きい米ドル運用を担当している。
“投資”“運用”と聞いて、真っ先に保険会社をメージする人は、それほど多くないかもしれない。なぜ、証券会社や銀行ではなく日本生命に入社したのか。岡安氏によると「保険会社では長期で安定運用することが求められる」。それに「ヘッジファンドは富裕層のおカネを運用するが、生保は一般の方々から預かったおカネを運用し、利益を上げて配当金という形で還元する」と、生保運用の社会貢献的な側面を理由に挙げた。
仕事で「ほとんど外に出ることはない」。一日中社内にいて2台のモニターとにらめっこ。場が動くとすかさず電話をとって銀行などへ指示を飛ばす。ドル相場を見ている以上、深夜まで仕事をすることもしばしばだ。場が動いたらアラームが鳴るポケットロイターという小型端末を持ち歩いており、いつも態勢を整えている。岡安氏によると「今では日経新聞を読まなくとも、世界経済の動きがわかるようになった」と言う。
今後のキャリアパスについても「運用一筋で行きたい」と決意は固い。次は株式投資で活躍し、さらに、会社全体のポートフォリオを管理できる部署へと、夢を思い描く。もし運用以外の部署に行けと言われたら「そのときは辞めるかな」と、岡安さんは苦笑する。
運用の世界では誰もが“平等”だ。マーケットに出れば年齢、人種、経験は関係なく一投資家でしかない。「グローバルで平等に勝負できるのって、ほかにスポーツ選手だけなんじゃないかな」と、岡安氏はその魅力を語った。