沖縄「レンタカー長時間待ち」どう解決するか

バスの「検索」改善で公共交通利用を促進

継続的にデータ整備・更新を行ってくれる事業者選定も課題だ。補助事業としてデータ整備が行われるのは2カ年。しかし、その後もデータ更新を続けていくことが、継続的に公共交通を使ってもらうためにも、最新の観光情報を提供するためにも重要になる。

委員会では、今回公募する事業者には継続的なデータ更新に関するポリシーを聞くことや公募事業者が自主事業として続けていくための財源確保についてさまざまな提案がされたが、決定的な案は出なかった。補助事業終了後のデータ更新は、今後大きな課題となっていくだろう。

観光と交通の悩みは解決できるか

ここまで沖縄本島のレンタカー送迎待ち対策から観光における公共交通利用促進につなげる取り組みを見てきた。ポイントは、交通業界だけの動きにとどまらず、観光業界をつなげ双方の悩みを一石二鳥で解決しようという考え方だ。

一般的に交通事業は、どうしても事業に補助金などがつきにくく、プレイヤーのやる気を喚起しにくい傾向にある。一方、観光業界は収益が上がっている一方で、観光客の移動手段であるレンタカー受け入れに困っている。この2者をつなげることで議論を活性化し、複数の課題を同時に解決していこうという考え方は、まさに観光が大きな産業である沖縄らしい取り組みといえよう。

また、データの利活用や事業の効果測定に関しても、観光という「目的地」側が参加していることでやりやすくなる。たとえば、ホテル側でアンケートを行うことで、かなり有用なデータが収集できる可能性がある。また、整備した頃にハッカソンやアイデアソンを行い、コンテストを行えば、インバウンド増加で盛り上がる観光関係のアプリを開発したい国内の開発者はもちろん、地理的に近い台湾の開発者が多く参加してくることも期待できる。こうした動きがうまく出てくれば交通事業者は自然に参加していくことだろう。

ただ、繰り返しにはなるが、継続的なデータ更新のための仕組み作りがやはり大きな課題だと感じられる。これについては、観光系のNPO組織が引き受け、観光事業者やレンタカー事業者から寄付金として資金を調達する仕組みも考えられる。

自治体がデータ整備を引き受けてしまうと、データ整備や更新が単純な「コスト」となり、また民間の力による有効活用もされにくくなってしまう。そうすると事業としての有用性が疑われ、せっかくのデータ整備も尻すぼみとなってしまう可能性がある。それを避けるためにも民間の力を活かし、補助金に頼らない自然な資金調達体勢をうまく引き出すこともデータ整備・更新の鍵と言えるだろう。

筆者は取材の際、那覇空港の「中の島」がレンタカー事業者の送迎待ちで混雑する横で、名護方面に向かう路線バスが誰も乗せずに発車していくのを見た。数年後には、このバスに多くの観光客が乗る光景が生まれているだろうか。

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