クロマティvs桑田「夢の草野球対決」の全内幕 レジェンドたちが伝えたい「野球道」の神髄
チームを優勝に導いた桑田氏は、報道陣に東京Aブロック代表になった心境を聞かれると「僕の教え子たちが頑張ってくれました。厳しい局面もありましたが、最後まで諦めず、みんなで力を合わせて戦えたことが勝利につながった」とうれしそうに答えた。
エクスポズは惜しくも関東地区代表決定戦への切符を逃したが、クロマティ氏は「楽しかったです。何試合かビハインドから点を取り返して勝ってきて、今回もそういう試合展開で自分も驚いた。ただ、何より楽しかった」と心から試合を楽しんでいた様子。
対照的な「野球道」をみせた2人
試合を振り返ると、桑田氏が教え子に実践させていた“野球道”と、クロマティ氏のチーム方針は対照的であった。
まず、エクスポズは終始楽しく、笑顔でプレーしている選手の姿が印象深い。クロマティ氏は、試合中も自身の行動で「野球を楽しむ」ことの大切さを示していた。監督という立場だが、自軍の攻撃時には何度も三塁コーチャーを務めていた。
横にいるファンとコミュニケーションを取り、攻撃が終われば、敵味方関係なく笑顔で選手や桑田氏を出迎えていた。
加えて、クロマティ軍のベンチからは常に野次が飛んでいたことも印象として大きい。野次といっても、それは人を不愉快にさせるものではなく、ジョーク交じりの、観客らの笑いを誘う“良い野次”だ。
それによってプレーする選手たちの緊張感をほぐし、試合を通じて楽しく野球をしていると、見ている側からも伝わるものがあった。
エクスポズの立石裕之選手にクロマティ氏について聞いても、「監督が掲げていたのはエンジョイ・ベースボール。だから細かいプレーは何も教わってないんです。“チームを盛り上げるために、野球を楽しんでやってくれ”と常々お話をされていました」と野球を楽しむというスタイルをチームに浸透させていたことが分かる。
一方の桑田氏は、試合後のチームミーティングでもフェアプレー精神を説くなど、徹底して野球に対する姿勢を伝え続けていた。そこには、桑田氏ならではの野球哲学がある。
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