『自分の評価を下げてでも、新人育成に励むべきですか』(26歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談
<城繁幸氏の診断>
診断:『短期の成果を取るか、長期の成果を目指すか』
新規入社者の指導と育成、立派な業務じゃないですか。本当に「何をしたか」によって評価されるのなら、それも立派な成果でしょう。まして業務拡大の最中であれば、新戦力の育成は組織にとって何よりも重要なはずです。みっちりと指導を行ってください。
マネージャーには、短期の成果はもちろん、長期の成長もにらんだマネジメントが必要となるのは当然でしょう。もし本当に、指導による人的・時間的コストを評価しないアホな上司がいるのなら、マネージャーとしての資質に深刻な問題があると言わざるをえません。
ただ、日本における成果主義の運用を見ると、そういった評価者が多いのも事実です。たとえば、数値化できる成果(目標管理で言えば、期初に設定した数値目標)のみをデジタルに評価する管理職ですね。
もし本当に、すべての成果が数値化できるのであれば、極端な話、中間管理職なんていらないわけです。社長一人、あとは全員一般従業員にして、報酬はプログラムで自動計算すればいいんですから。
逆に言えば、それができないがために、彼ら中間管理職は存在し、部下の成果をアナログで評価していくわけです。成果主義において、管理職のマネジメントが何よりも重要だと言われるのは、まさにこの点です。
たとえば外資系企業などでは、年初に作る目標シートはものすごく大雑把なもので、年俸交渉時にそれを挟んで両者が交渉するわけです。上司の下す評価と、部下が主張する成果。その間に、最終的な結果が確定するんですね。
もちろん、生の人間が主観で評価するわけですから、100%正しい評価なんてできるわけありません。ただ、良きマネージャーであれば、組織にとって本当に必要な成果を、無下に見過ごすことはまずないでしょう。