新常識!やせるには「カロリーの質」が大切だ 科学的根拠のある「ダイエット食」とは
この考えを基に、昔は食事の中の脂質の量を減らす(低脂質食)ことでダイエットができるのではないかと考えられており、実際にそのようなダイエットが行われていた時代がある。
しかしながら、研究に参加した人たちを低脂肪食と高脂肪食に無作為に割り付けたランダム化比較試験(2008年の論文、2009年の論文)の結果、低脂肪食を食べていた人も、高脂肪食を食べていた人も体重の変化に差がないことが明らかになった。低脂肪食は必ずしも「やせる食事」ではなかったのだ。
やせる炭水化物はあるのか?
最近になって、食事の中の炭水化物の量を減らすことでやせることができるのではないかと言われるようになってきた。1972年にアメリカ人医師のロバート・アトキンスが著書『Diet Revolution』の中で提唱したため、「アトキンスダイエット」などとも呼ばれる。「糖質制限ダイエット」「低炭水化物ダイエット」「ケトン式ダイエット」という名前で呼ばれることもある。
これらのダイエット法は、程度の差こそあれ、いずれも炭水化物の量を減らすことでやせようというものである。では食事の中の炭水化物の量を減らしたら、本当にやせることができるのだろうか。
実は「炭水化物を減らせばやせる」という考え方は正確ではない。確かに単純に炭水化物の摂取量が多い人と少ない人を比較したら、炭水化物の摂取量が少ない人のほうが体重が減っていることはランダム化比較試験(2008年の論文、2007年の論文)で報告されている。しかし私たちが普段摂取している炭水化物の多くは「白い炭水化物」(精製された炭水化物のこと)であるため、これらの研究で「低炭水化物食」を摂取している人たちの体重が減少しているのは、「白い炭水化物」の摂取量が減少していることの影響を見ているだけであると筆者は考えている。
しかし、重要なのは炭水化物の量ではなく、どのような炭水化物を摂取するかであるということは、あまり認識されていない。つまり、白米やラーメンのように精製された炭水化物(白い炭水化物)は体重増加につながるものの、玄米や蕎麦のように精製されていない炭水化物(茶色い炭水化物)を食べても体重は増えないことが研究結果から示唆されている。
具体的に食事内容と体重変化の関係を見てみよう。2011年にハーバード大学の研究者らが、アメリカ人約12万人を12〜20年間追跡して、食事内容が体重にどのような影響を与えるかを調査した観察研究がある。それによると、白い炭水化物を食べている人は体重が増加しているのに対して、茶色い炭水化物を食べている人では体重が減っている。
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