野球とビールは結局切っても切れない関係だ 古き良き昭和の風景は次の時代も色あせない

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短期間ではあるがビール会社に縁のある人物がプロ球団を経営していた時期がある。1954年にパ・リーグに加入した高橋ユニオンズがそれだ。

戦前、大日本麦酒(ビール)の社長を務め「ビール王」と言われた高橋龍太郎が私費を投じて球団を創設した。残念ながら高橋ユニオンズは史上最弱球団といわれ、3年で吸収合併された。「プロ野球ニュース」のキャスターとして一世を風靡した佐々木信也が活躍したことで知られる程度だが、その系譜は千葉ロッテマリーンズにつながる。

高橋龍太郎が社長を務めた大日本ビールは、戦後、独占禁止法の観点から朝日麦酒(アサヒビール)と日本麦酒(サッポロビール)に分割された。サッポロビールも野球との因縁浅からぬものがある。

「ビールの販売動向は、球場の立地と関連があります。神宮球場や東京ドームは、オフィス街にも近くサラリーマンの方が多いので、ビールの販売量は多めです。端的に言えば”屋外ビヤガーデン野球観戦付き”みたいな感覚の方も多いようです。夏には花火が上がる日もありますし。

私が今、担当しているメットライフドーム(埼玉西武ライオンズ本拠地)は、主たる客層はファミリー層ですが、近年は顧客満足向上に向けて、飲食の充実にも取り組んでおり、クラフトビールや輸入ビールの販売もしています」

サッポロビール株式会社 首都圏本部広域外食統括部 第4営業部の横山武史副部長は話す。

埼玉西武ライオンズといえば、昨年後半から売り出した強打者山川穂高がいる。沖縄出身の山川が打席に立つと、ビギンの「オジー自慢のオリオンビール!」という歌のさわりが流れる。これ、ビールメーカーとしては、気にならないのだろうか。

横山副部長に不躾な質問をすると、「もちろん、知っています。まずは山川選手に打ってもらう事で、ファンの方が喜び、球場全体が盛り上がれば、当社のビールの売り上げも上がると考えております」とのことだった。

サッポロビールは中売りではヱビスビールを販売しているが、他に氷彩サワーなども販売している。

サッポロビールが発売した応援缶(筆者撮影)

今年は埼玉西武ライオンズが埼玉県所沢市に移転して40年になる。

記念の「サッポロ生ビール黒ラベル埼玉西武ライオンズ応援缶」を6月に発売したところ、埼玉西武ライオンズが首位をキープしている事もあり、大好評で売り切れた。

野球とビールの関係の深さを感じさせる。

大谷翔平の快打をサッポロビールで祝うファンもいる!

野球場とビールの関係は、アメリカでも深い。

サッポロビール文化広報顧問の端田晶氏は、「バドワイザーで知られるアンハイザー・ブッシュ社は、1953年から1996年までセントルイス・カーディナルスのオーナーでした。創業者の孫のオーガスト・ブッシュは”アメリカ人の心をつかむには野球だ”と出資しました。また、ミラービールもミルウォーキー・ブレーブスのオーナーだったことがあります。

実は、サッポロビールもアメリカに進出した1980年代、アメリカでのステイタスを高めるために、エンゼルスの本拠地のアナハイム・スタジアムでビールの販売を開始しました。当時、両手に持った4本のビールを同時に注げる名物おじさんがいまして、その写真を”アメリカでも飲んでます”と日本向け広告で使ったことがあります」

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