闇に葬られた「オウム・北朝鮮」の関係は何か

幹部の死刑を執行、真実が失われた可能性も

しかし、北朝鮮との関係はこれ以上突き止められなかった、と公安関係者は言う。

國松長官狙撃事件現場にあった証拠

地下鉄サリン事件の10日後の3月30日、当時の國松孝次警察庁長官が出勤しようと東京・南千住のマンションを出た瞬間、銃撃された事件には、直接的に北朝鮮との関連を示す証拠があった。

この事件では当初、オウム信者で警視庁の「現職警官の犯行」との情報がマスコミに流れたが、警視庁がこの元巡査長を殺人未遂容疑などで逮捕したのは、9年後の2004年のことだった。しかし、逮捕された彼と元信者ら計4人は嫌疑不十分で不起訴となった。

問題は、2010年3月30日、時効が成立し、事件が迷宮入りした翌日から30日間にわたって、警視庁がホームページにそれまでの捜査内容をまとめた文書と現場遺留品の写真を掲載したことだ。

その遺留品には、ハングルで「朝鮮人民軍」と書かれたバッジや韓国の10ウォン硬貨などがあった。また現場で見つかった弾丸は、先端をくぼませ殺傷力を高めたホローポイント型マグナム弾といわれ、この弾を発射可能な米コルト社製パイソンなど銃身の長い銃は、国内の暴力団ルートなどでは容易に入手できないものだったといわれる。

警視庁捜査員の間では「オウム以外の組織的背景を持つ団体の犯行と見せかけ、捜査をかく乱させるための工作」との見方が強かったというが、そう単純に判断できるだろうか。

北朝鮮とオウムの間に何らかの秘密の協力関係があったのか、なかったのか。徹底捜査する必要はあったはずだ。オウムは国家転覆を企てていたのだから。

捜査機関でできなかったのであれば、インテリジェンス機関が歴史的責任を果たす役割は大きかったのではないか。

そうしたトップシークレットの情報を知っていた可能性がある、村井秀夫と麻原彰晃、さらに北朝鮮への渡航情報も伝えられていた早川紀代秀死刑囚(68)はいずれももうこの世にいない。

(文:国際アナリスト 春名幹男)

Foresightの関連記事
製薬企業から謝礼金「270億円」もらう医師の「本音」
マネーの魔術史(57)最終回・仮想通貨は国家をゆるがすか?
世界が注目する「日本の現代建築」に潜む「遺伝子」とは?
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 湯浅卓「トランプ政権の真実」
  • 「脱ゆとり世代」のリアル
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
人生100年時代の稼ぐ力<br>副業・資格で定年後も長く働こう

人員削減や年金不足問題など、将来収入への不安は募るばかり。会社に依存するのではなく、副業や資格を持つことで長く働くすべを身に付けよう。需要がグンと高まる資格、60代からでも食える仕事など、実践的な情報を満載。