安倍政権を揺さぶる豪雨災害対策の不手際 国会会期末の攻防と自民総裁「3選」にも影響
ただ、与党は公選法改正案も含めて採決を強行する方針を変えていない。このため、野党側が「政権が最も嫌がる時期に出す」(立憲民主党)とする内閣不信任案の提出時期も絡んで、国会攻防は会期末ぎりぎりまで「何が起こるか分からない状況」が続くことになる。
豪雨災害が発生する前は、野党の無力化もあって、政府与党は国会運営の主導権を握っていた。6日はカジノ法案や公選法改正案の参院審議入りが重なる終盤国会のヤマ場となったが、同日には豪雨災害に加えて松本・地下鉄両サリン事件など一連のオウム真理教事件で死刑が確定していた元教祖の麻原彰晃死刑囚=本名・松本智津夫=ら7人の死刑が東京拘置所などで相次いで執行されたことで、国会攻防をめぐる各メディアの報道は「オウム・豪雨」一色となり、国会関連の報道は片隅に追いやられた。
もちろん、法務当局は「死刑執行は慎重に準備を進めてきた結果で、政治の動きとは一切関係ない」と強調する。しかし、永田町では「現在の政権なら、国会のヤマ場にオウム事件での死刑執行をぶつけても不思議はない」(自民長老)との声も少なくない。偶然だったとしても大手紙やNHKなどのニュース報道が国会の動きをほとんどフォローできない状況となったことは間違いなく、その時点では野党側も「安倍政権は本当にしたたかだ」(国民民主党)と舌を巻いていた。
ただ、豪雨災害が加わり、政府の対応への批判が広がったことで、「安倍政権の強運」(自民幹部)は続かなかった格好だ。
不支持理由は「首相が信頼できない」が圧倒的
先週末に実施されたNHKの世論調査では内閣支持率で「支持」が「不支持」を4カ月ぶりに上回った。支持する理由は「他の内閣よりもよさそう」が断然トップだが、支持しない理由でも「人柄が信頼できない」がそれ以上の比率だ。「ほかにいないから支持するが、安倍政権の政治手法は嫌い」という声が圧倒的に多いということだ。
北朝鮮問題をはじめ日本を取り巻く国際情勢も流動化が際立っており、米中貿易摩擦で株価も乱高下している。豪雨災害の対応も含め、会期末までの12日間、首相や政府与党首脳が思惑どおりの政権運営で国会を乗り切り、首相の3選を確定的とするには、まだ多くの波乱がありそうだ。
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