武田薬品、「7兆円買収」めぐるOBとの深い溝 会社側は英国M&A規則を盾に情報開示を渋る

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出席株主からは、「買収には大賛成。株価は下がって損したが、成長のためには必要だ」(70代男性)との声がある一方で、「買収金額が巨額で不安に思う株主は少なくない」(40代男性)、「約7兆円の買収に関しては納得するところと、そうでないところが両方ある」(40代女性)など、不安の声も聞かれた。

武田の経営陣はまず一つハードルを越えたが、待ち構える山はまだ高い。

英国のM&A規則を盾に会社は沈黙

考える会のメンバーは総会での質疑について、「具体的な質問をしているのに、抽象論の回答に終始していた」と口々に批判する。会社側は「シティコード」と呼ばれる英国のM&A規則を盾に、「買収完了までは、シャイアーの収益見通しなど詳しいことは語れない。完了後はすべての情報を開示できる」(ウェバー社長)と、議論はかみ合わない。この規則は、基本合意から買収完了までの間は将来見通しの開示を制限している。

現時点でシャイアー買収の完了メドは臨時総会後の2019年上期だ。相乗効果など、詳細な会社側の試算提示がないまま買収の是非を判断せよ、と株主は酷な要求を突き付けられている。

考える会は賛同者を増やすなど徹底抗戦の構えで、意気盛んだ。経営陣との対立が臨時総会まで長引くのは必至の状況だ。

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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