18歳成人の学費は「誰が出す」のが妥当なのか 親の経済力低下、早く大人になる子に負担増
大学でかかる費用は、国公立大学でも入学関連で平均約70万円、在学中に年間約109万円で、4年間で合計約500万円に上るのです。さらに進学時点で未成年であれば、親の庇護のもとにある子どもの学費を親が主体的に準備するというのはごく自然な考え方でしょう。
学費を家計のみでまかなうのはもはや困難
ところが近年、親が子どもの教育に責任を持つのは当然であるという教育観のもとで、日本の親たちが子どもの教育費を負担するという構造は崩壊しつつあります。保護者だけの負担で大学などの学費を工面するのが厳しい家庭も珍しくないのです。上述の小林教授が2016年に高卒生の保護者を対象に行った調査でも、奨学金またはローンなしで大学に進学するのは不可能とする回答が、約7割を占めています。
もちろんこれは家庭の経済状況によって差があります。別の調査では、親が低所得であればあるほど学費の全額を家計で負担する家庭は少なく、学費を全く負担しない、あるいは半分以下しか負担しない家庭が多いことがわかっています。
年収600万~800万円の世帯でも、授業料の半分以下しか負担しない家庭は1~2割あります。授業料の全額を家計から出す家庭が9割以上を占める年収800万円以上世帯と大きな差があることも小林教授らは指摘しています。平均水準以上の収入がある家庭でも、子どもの高等教育の費用を負担するのは楽ではないことをうかがわせます。
同時に、費用負担の比重は子どもにシフトしています。日本学生支援機構によると、奨学金を受給する学生はこの20年で2倍以上に増え、2016年度には大学生の48.9%と、2人に1人を占めています。アルバイトをしている学生も大学生の83.6%を占め、うち36%は「家庭からの給付のみでは修学不可能・困難」と回答しています。
学費だけでなく、生活費のサポートにおいても親のインパクトは縮小傾向にあるようです。全国大学生活協同組合連合会の調査では、自宅外から通学している学生への保護者からの仕送り額が月に10万円以上という学生は、1995年の62.4%から2017年には37.2%に減少しました。逆に、仕送り額が5万円未満やゼロの学生が7.3%から22.6%へ、3倍以上に増加しています。
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