18歳成人の学費は「誰が出す」のが妥当なのか 親の経済力低下、早く大人になる子に負担増
こうした変化の一因には学費の高騰があります。国立大学の授業料は1975年度の3万6000円から2018年度の53万5800円と約15倍に、私立大学でも約4倍に増加しました。その結果、家計に対する学費の負担は重くなりました。家計の可処分所得(月額)に対する授業料(年額)の比は、国立大学で0.5倍から2倍、私立大学では1.7倍から3倍以上になったのです。
18歳成人で、子どもが担う傾向が強まる可能性もある
成人年齢が18歳に下がれば、ローンのハードルも下がります。現在、教育ローンは進学する子の保護者が借り入れることになっています。学生本人が借り入れるのは、「成人されており、勤務収入などの安定したご収入があって、独立して生計を営んで」いる場合(日本政策金融公庫「国の教育ローン」)など、例外的な扱いとされています。
これは法改正後も基本的に変わらないため、法律上は成人になってローンを借り入れる権利があっても、学業を優先する学生が容易に借りられるわけではありません。ただ、学生がローンを組みやすくなるのは確かです。奨学金とは別に、学生自身が教育ローンを組むケースも出てくるでしょう。
しかしローンのしくみへの理解や返済計画が不十分なら、すでに社会問題とされている貸与型奨学金の返還難のように、学生時代に負った多額の債務に苦しむ恐れもあります。社会変化の流れのままに子どもが過度な金銭的負担を抱えないよう、これからは高等教育の資金計画を着実に立てる能力が、親子ともに求められるのではないでしょうか。
折しも、政府は低所得者層を対象にした高等教育の無償化を議論しています。また2017年度からは、日本学生支援機構に国費を財源とした給付型奨学金と、所得に応じて返還額が決まる所得連動返還型無利子奨学金が創設されました。現在も、制度や対象者の拡充が検討されており、今後は家計にかかる高等教育の負担が軽減されていくことも期待できます。
とはいえ、公的負担の恩恵はすぐにすべての学生が、学費全額について享受できるわけではありません。当面は、家計が少なからぬ学費を負担する現状は劇的には変わらないでしょう。
大学4年間の学費は、それまでの18年間でかかる学費の総額とほぼ同額に匹敵します。人生で最も重い教育費がかかる時期は、法律上成人にはなっても経済的な自立には達していない時期と一致します。
18歳が成人になったとしても子どもと大人の狭間にいるわが子の学費を、親子のどちらがどれだけ負担するのかは非常に難しい問題です。子どもを持つ親、そして成人となる子ども自身も、これまで以上に十分に向き合う必要に迫られるでしょう。来るべき新成人に向けて、進路やかかるおカネについての意識やリテラシーを親子ともに高め、計画的に準備することが、今後ますます重要になるはずです。
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