日本は「北朝鮮の金づる」になってはならない 過去の有償支援の精算だって必要だ
要するに、日本からの援助米は飢えた北朝鮮の人民の口に入らなかったという可能性があるのだ。
こうした米支援が日本国民の負担で行われたのは言うまでもないが、いまなお負担額が増えているという実態がある。2000年にWFPを通じて北朝鮮に拠出されたのは高額な国産米だが、WFPに対しては安価なミニマムアクセス米として計上。その差額が国民負担になっているのだ。
これについて緒方林太郎前衆議院議員は2015年7月24日に、「ミニマムアクセス米の運営等に関する質問主意書」を提出。政府は「平成43年(2031年)度までに償還される」と答弁したが、返済は国際価格になる。
「日本はインドネシアと北朝鮮に米を貸し付けていますが、2015年度決算時点でその金額は1529億円にも上ります。その多くは北朝鮮に対するものだと思われますが、この赤字分の補填として、一般会計から年間105億円が投じられており、すべて国民の負担になっています」(緒方氏)
政治が「先走り」するとツケが残る
このような債務関係は、平壌宣言で相互に放棄することを認めた「1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国およびその国民のすべての財産および請求権」ではない。北朝鮮と国交正常化する際には、きちんと清算しなければならない問題だ。さらになぜこうした“援助”が行われたのかという当時の政治の構造についても、検証しなくてはならないだろう。
このような日本が北朝鮮に有する債権について、菅義偉官房長官は6月22日午後の会見で「我が国が一貫しているのはまず拉致、核、ミサイルの諸懸案を解決することで、それらが解決した後で経済交流を行う。そうした問題についてはその時点で検討していきたい」と述べた。
日本と北朝鮮には根深い問題が数多く横たわるが、これらはひとえに政治が問題を先送りしてきたツケが積もった結果といえる。こうした過去を教訓として、政治が先走りすることがないように願いたいものである。
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