IPO銘柄は上場後買っても本当に儲かるのか あのアリババも過剰期待で最初は「大苦戦」

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さきほどの図にあった個別銘柄の銘柄名をあげても、「誰もが知っている銘柄」ではないので、一般に新規上場後の価格がどのように推移していくかをとらえるために、上場日後の経過日数を基に、対象銘柄の平均価格を算出した指数(平均価格指数)を下の図3に示します。この指数を俯瞰すると、最初の3週間で価格は上昇・その後に急落・リバウンドした後に上場時の価格に収束するパターンが見受けられます。

(各種資料より筆者作成)

さらに、単なる価格の推移をとらえるだけでなく、全体市場(米国の代表的な指数の一つであるS&P500)に対する相対的な値動きをみてみましょう。2018年1月は株式市場が急騰した月ですが、日次ベースではS&P500は1月26日に上昇のピークを迎えた後に下落しています。また新規上場はすべて月後半に実施されています。そこで平均価格指数を実際の営業日にあわせて再計算を行いS&P500と比較すると、S&P500が下落していく中で、新規上場銘柄は最初の3週間において相対的にS&P500をアウトパフォームしていることがわかります(図4)。

(各種資料より筆者作成)

従って、最初の3週間において指数を買う(ロング)とともにボラティリティ(変動率)調整後のベータでS&P500をショート(売り)すれば、この相対的な値動きから収益を獲得することが可能になります。

新規上場銘柄は、どのタイミングで投資すればいいか?

図3(2018年1月上場銘柄の平均価格指数の推移)が示すとおり、新規上場銘柄への投資は上場後の最初の3週間で10%~15%の利益が獲得できる機会があることがわかります。

システムトレードの先駆者であるペリー・カウフマン氏が 10月に講演します。詳しくは日本テクニカルアナリスト協会のHPをご覧下さい(写真:筆者提供)

さらにそれ以上保有し続ければトレードの仕方によっては15%の損失を被るなどの可能性があります。

しかしながら、こういった短期的な利益の獲得機会はトレーダーが目指すものであって、最初の図1が示すとおり、長期保有を前提にしている投資家にとっては関係のないことかもしれません。

新規上場時の価格は、発行時の企業評価よりも投資家の過剰な投資熱によって過大評価されがちです。企業は新規上場によって得た調達資金を約2年間にわたって事業に投下することから、長期保有を前提にしている投資家にとっては、それらを見極めて投資を決定することが肝要です。

ペリー・カウフマン 投資コンサルタント

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Perry J.Kaufman

株式とデリバティブ市場で40年以上に及ぶ経験を持つ投資コンサルタント。システムトレードの先駆者であり、すでに1970年代からコンピュータを使った自動化システムでトレードを始めたことで知られる。近著に「世界一簡単なアルゴリズムトレードの構築方法」(パンローリング)ほか著書多数。

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