報道を娯楽と勘違いするマスコミにモノ申す

猪瀬直樹が「ラストニュース」に込めた思い

報道番組の使命とは?(写真:microgen/iStock)

元東京都知事で作家の猪瀬直樹さんといえば、画家で女優の蜷川有紀さんとご婚約されたことが今いちばんの印象だろうか。おふたりの共著発表の場でもある婚約出版パーティーに私も出席したのだが、幸せオーラを放つおふたりの姿に目を奪われながら、ほっこりした気持ちになった。

当記事は、マンガ新聞の提供記事です

代表作『ミカドの肖像』をはじめとするあらゆる猪瀬作品に触れるなかで、90年代に猪瀬さんが原作を執筆したというマンガに私は出会った。それが『ラストニュース』(作画:弘兼憲史)だ。

主人公は、ニュース番組の異端児・日野。夜11時59分という、その日最後の時間から始まる放送時間わずか11分間の報道番組「ラストニュース」のプロデューサー。彼を筆頭に、大学卒業後に憧れのCBSに入社し「ラストニュース」に配属された新入社員の吉岡と、才色兼備の番組キャスター・山口エリという個性あるキャラたちが物語を牽引する。視聴率にとらわれず、常にファクトを求め、果敢にタブーに挑戦する報道番組スタッフが、社会と激しく対峙する姿を描く。

政治、宗教、八百長プロレス、野球賭博、レイプ、放火魔など、現在でも目にする事件・事故だけでなく、天皇誕生日と東条英機処刑の日の関係性など、歴史的な事柄も登場する。全10巻。

主人公の揺るぎない報道姿勢とカリスマ性

報道番組「ラストニュース」の使命は、メディアの自己批判だ。視聴率至上主義の他のニュース番組やワイドショーとは違い、速報は重視しつつも、決して自分たちの都合に寄せない意識の高い報道姿勢を見せる。

「世論は生き物、毎日変化する。今日のことは今日決着をつけるのがジャーナリズム」と、部下である吉岡に話す主人公の日野プロデューサー。権力を行使してマスコミを操る人々にNOを突きつけながら使命感を持って走り続け、新入社員の吉岡や番組スタッフを引っ張っていくカリスマ性を持つリーダーである。報道のあり方を考えさせるストーリーではあるが、この日野という男が魅力的で、リーダー論も散りばめられている。ここは作画を担当された弘兼憲史さんの力量も感じるところだ。

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