9月米雇用統計は予想下回る FRB慎重姿勢強める公算
[ワシントン 22日 ロイター] - 米労働省が22日に発表した9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が14万8000人増にとどまり、市場予想の18万人増を大きく下回った。景気の失速を示唆しており、米連邦準備理事会(FRB)は緩和縮小開始時期をめぐり慎重姿勢を強める公算が大きい。
8月分は16万9000人増から19万3000人増に上方修正された。一方、7月分は10万4000人増から8万9000人増に下方修正され、2012年6月以来の低い伸びとなった。
ただ失業率は7.2%と0.1%ポイント下がり、2008年11月以来の低水準をつけた。失業率の算出に使われる家計調査は、前月に雇用が拡大していることを示している。
雇用統計の発表を受けた金融市場では、米国債価格が上昇。ドルは円とユーロに対し下落した。一方、FRBによる金融緩和が長期化するとの思惑から、米株も上昇して始まった。
9月の雇用統計は、財政協議のこう着による政府機関の一部閉鎖の影響で当初予定より2週間以上遅れての発表となった。統計の内容は、財政協議が行き詰る以前から景気が失速している兆候を示しており、財政問題をめぐる議会対立が経済にどの程度打撃を与えるのかが明確になるまで、FRBは緩和縮小を見送る可能性がある。
エコノミストは16日間に及ぶ政府機関の一部閉鎖で、第4・四半期の年率国内総生産(GDP)が最大0.6%ポイント押し下げられると予想しており、FRBの緩和縮小開始は来年以降にずれ込むとの見方が支配的になっている。
バイニング・スパークスの首席経済ストラテジスト、クレイグ・ディスミューク氏は「FRBとFRBの政策に対する疑問が強まった。FRBは今後、雇用市場が改善しているとは主張しづらくなる」と述べた。
ディシジョン・エコノミクスの首席エコノミスト、キャリー・リーヒー氏は「年明け早々の1月半ばには、財政問題をめぐる議会の対立で再び同じ状況が繰り返される可能性があり、FRBが行動するとは思えない。財政問題が決着するまで、FRBが緩和縮小に乗り出すとは想像しにくい」と述べた。
米議会は、政府資金を来年1月15日までしか手当てしておらず、連邦債務上限についても2月7日までの国債発行しか認めていない。そのため来年早々に再び財政協議がこう着し、政府機関の閉鎖やデフォルト(債務不履行)危機といった状況に陥る恐れがある。
内訳は強弱まちまちとなった。
政府部門の雇用者数は8月の3万2000人増に続き、9月も2万2000人増えた。州・地方政府の雇用が増え、連邦政府の雇用減を補った。
半面、過去数年ほぼ一貫して雇用が拡大していたレジャー・接客部門は、予想外に1万3000人減少し、2009年12月以来の大幅減となった。
情報は4000人増とやや持ち直したが、映画業界の人員削減を背景とする8月の落ち込みをすべて取り戻すことはできなかった。
一方、建設は2万人増となり、住宅建設の伸びが頭打ちになっているとの懸念を軽減する可能性がある。過去2カ月は雇用がほぼ横ばいだった。
製造業は2000人増にとどまった。自動車組み立てでの人員削減が響いた。
小売りは2万0800人増加。ただ今年これまでの堅調なペースからは伸びがやや鈍化した。
時間当たり賃金は24.09ドルと、前月の24.06ドルから0.03ドル増加した。過去1年では0.49ドル(2.1%)増えた。
平均週間労働時間は34.5時間で変わらずだった。
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