中国GDP伸び率が今年最高の7.8%に加速 構造調整は、道半ば
[北京 18日 ロイター] - 中国国家統計局が18日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比7.8%となり、第2・四半期の同7.5%から加速した。ロイター調査のエコノミスト予想とも一致した。
7.8%の成長率は、7.9%成長だった2012年第4・四半期以来の高水準で、今年最も高い水準。今年第1・四半期は7.7%成長だった。
内外需ともに堅調で、生産や小売売上高を押し上げた。
第3・四半期のGDP伸び率は前期比では2.2%で、予想の1.9%を上回った。
9月の輸出が予想外に減少したこともあり、投資家の間では中国経済の回復力について懸念する声も出ていた。アナリストらは、成長率をある程度犠牲にしても持続可能な成長を目指す中国政府の政策が向こう数四半期において景気の重しになると指摘する。
みずほ証券(香港)の中国担当首席エコノミスト、沈建光氏は「第3・四半期GDPは市場予想に沿うものとなったが、現在の回復状況が持続可能なのかどうかは不透明だ」と指摘。「われわれは、第3・四半期の回復は主に不動産市場の強いモメンタムに促されたものだったと考える」と述べた。
1─9月のGDP伸び率は前年同期比で7.7%となった。
中国政府は今年通年の経済成長率目標について、23年ぶりの低い伸びとなる7.5%に設定。李克強首相は今月、「われわれは、経済および社会の発展に向け設定した2013年の目標を達成することに自信を持っている」と述べた。
<構造調整は道半ば>
今年に入ってからこれまでのところ、経済成長の寄与度のうち半分以上を投資が占めており、消費主導型の成長に向けた中国政府による構造調整は道半ばだ。
GDP成長率は、過去10四半期のうち8四半期で減速しており、アナリストらは今四半期(10─12月期)に再び減速する可能性があると指摘している。輸出が軟化すると見込まれるほか、インフレ率が7カ月ぶりの高水準に上昇したのを受け、当局が信用拡大を抑制する可能性もある。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのエコノミスト、陸挺氏は「成長ピークは第3・四半期に過ぎ去った」と指摘。「中国人民銀行(中央銀行)は金融政策を第3・四半期の緩やかな拡大から中立スタンスに徐々にシフトする、とわれわれはみている」と述べた。
新興国市場の需要軟化を背景に輸出がさえないのに加え、18日には人民元相場が対ドルの最高値を5日連続で更新。競争力が低下する中国の輸出業者は困難な時期を迎えそうだ。
国家統計局の盛来運報道官は会見で「中国経済は複雑かつ不確かな国内外の環境に直面している」と指摘。「さらに、中国経済はこれまでに蓄積された慢性の構造不均衡問題を抱えており、われわれはそれに対処するために改革を深化させる必要がある」と述べた。
<信用拡大を警戒か>
大半のエコノミストは、中国当局が向こう1年半は金利を据え置くと予想している。
ただ、9月のインフレ率は7カ月ぶりの高水準である3.1%に上昇。このため、中国は信用拡大を抑制するため、向こう数カ月以内に政策調整を実施する可能性があると見る向きもある。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの陸氏は「李克強首相率いる新政府は、信用の伸びの一段の加速を抑制するだろう」と指摘する。
同時に発表された9月の鉱工業生産は前年同月比10.2%増加し、予想の10.1%をやや上回った。8月の10.4%増からは減速した。
9月の小売売上高は前年同月比13.3%増で、予想の13.5%増を下回った。
1─9月の固定資産投資は前年同期比で20.2%増加した。予想は20.3%増だった。
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