米緩和縮小先送り観測が、ドルの上値を圧迫 強まる、米景気の不透明感

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10月17日、懸案となっていた米財政協議は合意にこぎつけたが、政府機関閉鎖の影響が米経済に出始めており、ドル/円を積極的に買えるような環境にはないとの見方が目立つ。写真は2008年3月撮影(2013年 ロイター/Mark Blinch)

[東京 17日 ロイター] - 懸案となっていた米財政協議は合意にこぎつけたが、政府機関閉鎖の影響が米経済に出始めており、ドル/円を積極的に買えるような環境にはないとの見方が目立つ。テーパリング(米緩和縮小)の先送り観測がドルの上値を抑え、100円水準は重くなりつつある。

リスクオン心理の広がりで、クロス円での円売りが目立ってくれば、下値をサポートしそうだが、投資家は上値追いには慎重だ。

<米景気の不透明感強まる>

17日の東京市場で、ドル/円はジリ安の展開となった。米財政協議の合意を受け、ヘッジ外しやショート勢の買い戻しで一時99.01円まで上昇したものの、ある程度織り込まれていたうえ、「上値を追うほどの環境にはない」(大手邦銀)との見方が多く、欧州時間には97円台まで押し戻された。

投資家がドルの上値追いをためらうのは、合意内容が問題の先送りに過ぎないうえ、米経済の不透明感が強まっているためだ。IG証券マーケットアナリスト、石川順一氏は合意内容について「延命措置に過ぎない」と指摘。その上で「今回の混乱で米景気の不確実性も高まった」として、ハト派とみられているイエレン米連邦準備理事会(FRB)副議長の議長就任決定も踏まえれば、「ドル/円でのドル高は期待できない」との見方を示した。

FRBは16日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米経済について9月から10月上旬にかけて、引き続き「控えめから緩やかな(modest to moderate)」ペースで拡大したとの認識を示したが、同時に「政府機関閉鎖と債務上限協議を主な要因とする不透明感の増大を指摘する向きも多かった」と警戒感も示している。

<テーパリング先送り観測>

米経済の不透明感の強まりは、テーパリング観測にも影を落としている。米財政協議の合意はテーパリングに向けた障害を1つ取り除いたとはいえ、予想外に長期化した政府機関閉鎖が米景気を下押ししかねない。市場では年内のテーパリングはなくなったとの見方が広がりつつある。

大手邦銀関係者は「イエレン氏の議長就任で金融資本市場に優しい金融政策が続く可能性が高いうえ、2週間におよぶ米政府閉鎖で成長率の下押しも予想されるため、すぐにはテーパリングに動かないだろう。当面は『イエレン・トレード』が続き、リスクオンの動きになりやすいのではないか」との見方を示す。

仮にリスクオンになれば、クロス円での円売りがドル/円をサポートする可能性があるが、テーパリングの先送り観測はドルの圧迫要因にもなるため、ドル/円はそれほど上にはいかないとの見方が多い。

頼みの海外勢のドル買い/円売りも期待できそうにない。ある市場関係者は「昨年11月からの相場のように、どこから電車(相場)に乗っても勝てるとは彼らも思っていない。それゆえ、きのうも98円の高いところで一所懸命売ってポジションを小さくしていた」と打ち明ける。アベノミクスに対する期待が一段落する中で、ドル/円は海外勢の興味の対象から外れつつあるという。

IG証券の石川氏は「今後の円安のスピードは、クロス円の動向次第だろう」と指摘。その上で「ドル/円は今後100円を回復する可能性はあるが、7月8日の高値101円半ばあたりが限界ではないか。リスク選好が回復したとしても、米量的緩和(QE)の長期化は、ドル相場の上値を抑える可能性が高い」との見方を示した。

(ロイターニュース 志田義寧 編集:伊賀大記)

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